芸人・友近さんの着物の時間──あえて帯は上めに締めています。脚を長く見せる秘訣です
撮影・青木和義 ヘア&メイク・根本茉波 着付け・林さやか 文・大澤はつ江 撮影協力・隅田川テラス 越中島
着物作家の重宗玉緒さんの浴衣。楽しげに泳ぐランチュウがいいでしょ
人の言動をデフォルメして演じる友近さんの“ひとりコント”には、一体何人のキャラクターが存在しているのだろうか? 例えば旅館の仲居、またある時は元宝塚女優。その中でもピザ屋のおじさん「西尾一男」と演歌一筋の歌手「水谷千重子」は抜群の知名度と人気をほこる。
「おかげさまで水谷千重子は芸能生活50周年を迎え、西尾一男はホテルでディナーショーを開くまでになりました(笑)」
デビューしたときから“50周年記念公演”と銘打つのが水谷千重子の約束事だが、楽しみのひとつが着用する着物のキッチュさ。千重子の愛犬・ヨークシャーテリアのサフランちゃんを描いたものや、口癖「バカ言ってる」をローマ字であしらったものなど、斬新かつ大胆な絵柄が目を引く。
「千重子は私が作り出したキャラクターですから、本物の演歌歌手の方々がお召しにならないような着物を着ることで一線を引きたかったんです。ステージ上で映えることを第一に、コンセプトにしたのは違和感のある着物。でもどこかかわいい“ダサカワ”です」
デザイン案を友近さんが出し、それを着物とオブジェの作家、重宗玉緒さんが形にする。
「千重子の衣装をどうしようかと考えていたときに、スタッフからこんなおもしろい着物を作っている人がいる、と。重宗さんにデザインをお願いしたところ、思い描いていたイメージにピッタリだったんです」
以後、着物はすべて重宗さんが手がける。今回の友近さんの浴衣もその中のひとつだ。
「ランチュウが水の中を気持ちよさげに泳ぎ、チャイナ風の紋をアクセントにしてみました。かわいいけれど大人っぽいところが気にいっています。帯は博多の半幅で笹結びのアレンジです」
着物は好きだけれど、プライベートで着る機会はそれほど多くはない、と友近さん。
「その代わり、映画やTVドラマでは洋服より着物を着る役が多いんです。人からは“着物が似合う体形”と言われています。事実、どんな豪華な洋服を着ているときより、着物を着ているほうが“素敵ですね”と言われる確率が高いです」
そんな友近さんに着物の着こなしで大切にしていることを聞くと。
「一番は帯の位置。下めに締めるとこなれた感じになるかもしれませんが、私はあえて上めです。これは千重子も同様です。身長などを考慮すると上めのほうがバランスがよく、脚が長く見える(笑)。次が衿元。ピシッと合わせるようにしています。開き過ぎるとだらしないように見えますから。あと、イヤリングを着けています。洋の要素を取り入れることで、遊び心が出るような気がするので」
“大人かわいい友近”と“POPな水谷千重子”。タイプは違うが、どちらも魅力的だ。
最後に、着物のいいところを聞いてみた。
「なんといっても着物の利点は体形がカバーできる、これに尽きますね。あと、ガニ股にならず歩き方が楚々とし、動作も丁寧になる。これって誰にでも当てはまるのでは。いつもと違う自分が体現でき、ちょっと日常が遠のく。そこも魅力的ですよね」
『クロワッサン』1170号より
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