もの忘れ、せん妄、徘徊……。自覚のない行動が現れる、認知症の正体とは?
内科医で、予防医学の重要性を説く森勇磨さんは、「認知症とは脳の正常な機能が損なわれ、五感が弱っていく状態のことで、病気ではなく症状の総称」という。
現在患者の7割を占めるアルツハイマー型のメカニズムは、脳に溜まる老廃物が40代以降、排出されにくくなり、アミロイドβペプチドという有害なたんぱく質が数十年単位で脳に蓄積。脳が正常に働かなくなり、発症するといわれている。
ほかにも、脳血管疾患がきっかけになる脳血管性認知症、幻視があるレビー小体型、社会性が失われる前頭側頭型の4つに分かれる。
「しかし、総じて認知症は脳の生活習慣病。とにかく、生活習慣病の予防を意識してほしい。それが認知症予防につながります」(森さん)
2023年夏には認知症治療薬レカネマブが認可された。朗報に期待が高まるが……。
「根本的な治療薬ではなく、進行を28%遅らせるだけ。認知症にならないため確実なのは、発症前からできることを続けること。まさに、人事を尽くして天命を待つことだと思います」