「もともと人間は太陽の動きに連動したほうが、脳の生理的な仕組みを活用しやすい」と、脳内科医にして1万人以上の脳を診断・治療してきた加藤俊徳さん。特に朝は、夜の睡眠中の脳から昼間の活動する脳へと変わる時間帯。
「朝、きちんと覚醒させることで脳は本来持っている一番よい働きが昼間できるようになります。早朝覚醒など脳の不調が生み出す不定愁訴を改善することは、日中の活動に有効です」
実際、朝に脳を覚醒させていない人は昼に向かい緩やかにピークを迎え、その後は夜に向かって緩やかに覚醒度が下がっていく。一方、起床時に脳の覚醒度を上げておくと、昼前にピークを迎えて夕方まで維持した後、夜になれば急激に下がる、という形になる。
「“早起きは三文の得”という言葉に私も以前は実感がなかった。でも、朝から元気で活動できる状態にすることは実は脳にとって正しい健康法なのです」
脳を覚醒させるという意識を持つだけで、日中の充実度は変わるという。それには、夜どう過ごすかも無関係ではない。遅い時間まで食事する、ダラダラ起きている、それでは翌朝スッキリ目覚めて活動することは難しい。脳の健康は朝を基点にすると整いやすいことを念頭に、夜の過ごし方も考えて。