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医師に聞く「脳の朝活」の重要性と、毎朝の定番にしたい脳のための20の簡単な習慣

  • イラストレーション・松栄舞子 構成&文・中條裕子

毎朝の定番に取り入れたいのは、こんな習慣!

1.利き手とは反対側の手で歯を磨く。

手先と口、舌を同時に使う歯磨きは、効果的な刺激。右利きの人が左手で歯を磨くと、脳の使われるエネルギーは1.6倍にもなる。左利きの人も同様。特に右利きであれば、普段使わない右脳側を使うことになり、発想力や集中力向上に期待が。
(1運動系)

2.目的やテーマをひとつ決めて、それを探す。

家の中でも外でも、ある目的やテーマを決めてそれを探す。たとえば、テレビ画面を見ながら文字や数字を決めて意識するようにしたり、散歩中であれば特定の色の花を探すといった具合に。これによって、視覚系脳番地の中でも、特に空間を把握する部分の機能が強化される。
(2視覚系)

3.2〜3階分でも階段を利用して上り下りする。

朝の移動中に階段を利用する。マンションで2〜3階分だけ階段を使うのもよい。段差を確認しながら階段の上り下りといった全身の筋肉を動かす指令を継続的に出すことで、脳が効果的に活性化。有酸素運動で、脳番地同士のつながりがスムーズになり、足腰の筋肉も鍛えられる。
(1運動系 2視覚系)

4.特定の音に集中して音楽を聴く。

朝の支度中などに音楽をかける際、複数の音の中から特定の音だけを拾って聴くことで、聴覚系脳番地を目覚めさせるトレーニングに。たとえば、ポピュラー音楽ならギターやドラムといった特定の楽器の音を追いながら聴いてみる。
(3聴覚系)

5.身支度や家事を、ラジオを聴きながら作業する。

映像や字幕からの視覚情報で内容を補えないため、聴覚系脳番地が鍛えられるのがラジオ。朝の家事や身支度をしている間に、番組の内容を理解しながらトーク番組を聴く。自分の話題に使えそうなネタを探したり、次に何を言うのか予測しながら作業をするのも効果的。
(1運動系 3聴覚系)

6.今日も元気にがんばる! と自分に声かけ。

自分に向けて「今日も元気にがんばるぞ!」と声を出すことで伝達系脳番地が刺激されるとともに、前向きな気持ちになれ、やる気を生み出す思考系脳番地も活性化。今日は気分が乗らない、朝は調子が今ひとつ、そんなときこそ自分を鼓舞する言葉を自身にかけるようにして。
(4伝達系 5思考系)

7.今日~をしたい、 と3回以上声に出して唱える。

その日に必ずしたいことを口に出して、3回以上唱える。声に出して言うことで、伝達系脳番地が刺激されると同時に、思考系脳番地のスイッチがオンに。毎朝続けると、自分の「~したい」という声のとおりに日々を過ごせるように。行動力や決断力に自信がない人に特におすすめ。
(4伝達系 5思考系)

8.歌いながら朝食の準備など別のことをする。

2つのことを同時に行う「デュアルタスク」で多くの脳番地が活性化。手軽にできるのが、歌いながら行動すること。朝食の準備を歌いながらすると、手と口を連動させて動かす運動系、2つの動作を同時に行う思考系、歌声を発する伝達系、声を聞くために聴覚系と、フル稼働に。
(1運動系 3聴覚系 4伝達系 5思考系)

9.朝の片づけで、気分とともに空間もスッキリ。

手足を動かし、対象を眺めて頭で整理する片づけは、運動系、視覚系、理解系脳番地を刺激。まず食器洗いのような単純作業から、布団干し、掃除機がけなど体を動かす掃除、その後に置きっ放しのものを整理整頓して用途や使用頻度を考えながら収納、といった手順で。
(1運動系 2視覚系 6理解系)

10.目についた文字を逆さに読んで記憶する。

看板や駅のポスター、電車の車内広告など目についた文字を逆さ読みして記憶する。逆さになって馴染みのない言葉を記憶することで記憶系脳番地が刺激され、何度も繰り返すと伝達系脳番地も活性化。ゲーム感覚で脳の覚醒度を上げられる。自宅でテレビの字幕を利用しても。
(4伝達系 7記憶系)

11.その日の予定を思い浮かべて手書きをする。

活動を始める前に、思い浮かべた一日のスケジュールを終わりから逆算し、箇条書きにして書き出す。手書きは指先の繊細な動きが運動系脳番地を刺激し、書いた文字を見ながら手を動かすため視覚系脳番地も活性化。字を思い出しながら書けば、思考系・記憶系脳番地も働く。
(1運動系 2視覚系 5思考系 7記憶系)

12.声を出してカウントダウンしながら暗算。

たとえば、100から3ずつ引いていき、声を出してカウントダウンしてみる。暗算で思考系が働き、答えを声に出すことで伝達系が、声に出した答えを聞いて数字を改めて認識することで聴覚系、計算した数字を覚える記憶系と、多くの脳番地が連携して働くので効果的。
(3聴覚系 4伝達系 5思考系 7記憶系)

13.縛りを設け10分程度、 一人しりとり。

食べ物などカテゴリーを決めたり、外来語のカタカナといった縛りを設け、しりとりを行う。途中で詰まっても、次の言葉を考える間に伝達系脳番地が刺激され、記憶系脳番地にストックされている言葉を引き出し、思考系・理解系脳番地で考え続けるので、トレーニングの一環に。
(4伝達系 5思考系 6理解系 7記憶系)

14.鏡を見ながらにっこりと満面の笑みを。

鏡を見ながら、口角を上げて顔全体を使い、思い切り満面で笑みを作る。これにより顔の表情筋を大きく動かし、運動系脳番地を目覚めさせる効果が。作り笑いでも笑顔になると脳は楽しいと錯覚するので、それを鏡で確認すれば視覚系と共に感情系脳番地も刺激されることに。
(1運動系 2視覚系 8感情系)

15.家で職場で、ペットや植物に話しかけてみる。

ペットや観葉植物を家で育てている人はもちろん、移動中などに見かけた木々や植物に話しかけてみる。人間以外でも話しかけることで伝達系脳番地を刺激し、感情表現にもなる。動物や植物に話しかけるとリラックスでき、相手の様子を観察することで視覚系脳番地も活性化。
(2視覚系 4伝達系 8感情系)

16.鏡の前で洋服の組み合わせをあれこれ考える。

季節、TPO、似合う色に合わせて、ジャケット、ニット、スカートなど、鏡を見て確認しながらトータルコーディネートを決めるのは、視覚系脳番地の刺激に。会う相手を考えながら決めれば、理解系脳番地も使う。それが周囲から褒められれば、感情系脳番地の働きも活発になる。
(2視覚系 6理解系 8感情系)

17.離れて暮らす家族や知人に電話をする。

離れて住む家族や知人にモーニングコールしてコミュニケーションを取る。相手の声から情報を得ようと聴覚系脳番地や、姿が見えない相手の状況を推測することで理解系脳番地が活性化。言葉だけのやり取りで伝達系脳番地が働き、感情系脳番地も刺激されるなどフル稼働に。
(3聴覚系 4伝達系 6理解系 8感情系)

18.その日の予定を確認しながらシャワーを10分。

全身にシャワーを浴び、洗髪で頭皮を刺激すると、感情系脳番地が刺激され、眠っていた感覚が鋭くなる。一日の予定を思い浮かべながら髪を洗い、頭の中だけでやるべきことを確認することで記憶が整理され、記憶系脳番地が活性化。制限時間を決め、まずは10分で試して。
(7記憶系 8感情系)

19.何があっても怒らないと声に出し唱える。

脳には、目標を設定するとそれを実現するために働こうとする性質が。一日をどんな気持ちで過ごしたいかを言葉に出して宣言すると、記憶系脳番地にその言葉がインプットされ、思考系と感情系脳番地も刺激を受ける。朝に不機嫌になる、イライラする、そんな人におすすめ。
(5思考系 7記憶系 8感情系)

20.朝の散歩で脳番地すべてを働かせて覚醒。

朝日を浴びて外気に触れる散歩は、脳の覚醒度を上げる要素を網羅。視覚はもちろん、自然の匂いといった嗅覚刺激があったり、さまざまな感情が芽生えたり。運動のほか刺激や変化がきっかけとなり、全脳番地が働き始める。リズム運動で呼吸が整い、不安やイライラも解消。
(1〜8すべて)

加藤俊徳

加藤俊徳 さん (かとう・としのり)

脳内科医

〈加藤プラチナクリニック〉院長、〈脳の学校〉代表。MRI脳画像診断、発達障害・ADHDの診断・治療の専門家。長年の研究に基づき、脳番地トレーニングを提唱。

『クロワッサン』1094号より

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