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カリウムで塩分を体外に出す、 「排塩」のコツと簡単な4つの作り置きレシピ。

塩に含まれるナトリウムを摂りすぎると血圧が上がる原因に。
余分なナトリウムを体外に出してくれるカリウムを積極的に摂ることで、上手に排塩を。
管理栄養士の牧野直子さんに教わります。
  • 撮影・黒川ひろみ スタイリング・高島聖子 文・松本あかね 撮影協力・UTUWA TEL.03・6447・0070

ミネラルの一つで野菜や果物に多く含まれるカリウムには、細胞内のナトリウムの濃度を一定に保つ働きがある。

「血管の細胞内にナトリウムが多いと、濃度を下げるために水分量が増えて細胞がむくんだ状態に。これを解消するためカルシウムがナトリウムと入れ替わり血管壁が硬く厚くなり、血管が狭くなって血圧が上がってしまいます。そうならないように余分なナトリウムの排出を促すのがカリウムの役割です」と牧野直子さん。

もしメインの料理がちょっと塩辛くなってしまったら、副菜にカリウムを多く含む食材を追加してみる。そうでなくても「排塩」のためには、日々必要なカリウム量を満たしていくことが必須だ。

「20代以上の女性なら2600mg以上が目安です。野菜、果物、芋類、きのこ、海藻類に多く含まれていますが、厚生労働省が提唱する野菜類の一日あたりの目標値350g以上、果物を100〜200g食べていれば、必要なカリウムも自然に摂取できる計算です」

料理でいうと、一日5皿の野菜料理を食べていれば、不足することはない。

「カリウムは水に溶ける性質があるため、茹で時間は短めに。茹で湯を使わずに済むレンジ調理もおすすめです。煮汁ごと食べられる煮浸しなら溶けたカリウムも無駄なくいただけます」

カリウム自体、汗で体外に出てしまうため、暑い季節は特に意識を。減塩とともに排塩に取り組んで健康を目指そう。

排塩レシピのコツ

無理なく続けたい排塩生活は簡単「作り置き」で習慣づけて。

きのこのレンチンマリネ

電子レンジ調理でカリウムもきのこの旨みも逃さない。

しょうがを効かせた中華風マリネ。肉・魚の付け合わせやパスタのほか、サバ缶と和えてそうめんに添えても。しょうがとごま油をにんにく、オリーブ油に替えれば洋風に。

【材料(出来上がり量約400g)】
きのこ合わせて 400g(まいたけ大1パック〈ほぐす〉
しいたけ 6枚〈石づきを取って軸は割き、笠は5mmの薄切り〉
エリンギ 1パック〈縦に6~8つに割き、長さを2~3等分する〉)
塩 小さじ1/3
しょうがスライス 3~4枚(千切り)
酢・ごま油 各大さじ1

【作り方】
耐熱ボウルにきのこ、しょうがを入れ、塩を加えてさっと混ぜ、ふんわりとラップをして電子レンジ(600W)で4分加熱し、全体を混ぜる。さらに1分加熱して、酢・ごま油を加えて和え、保存容器に入れる。保存は冷蔵で4日間。

※耐熱ボウルは密閉保存用の耐熱容器を使えば、粗熱が取れたらそのまま冷蔵保存できて便利。

ゴボウのだし煮

食物繊維も豊富な根菜類。だしで煮ておくとすぐ使える。

小腸で余分なナトリウムを吸着、排出する食物繊維は、合わせて摂りたい栄養素。おかか、胡麻和えのほか、味噌汁の具やきんぴらにも下拵えなしで使えて便利。

【材料(出来上がり量約300g)】
ごぼう 1本(250g。幅5mmの斜め切りにし、水から下茹でして沸騰したら5分ふたをして火を通し、湯を捨てる)
だし汁 1カップ

【作り方】
鍋にごぼう、だし汁を入れ、落とし蓋をして10~15分、ごぼうが柔らかくなるまで煮る。保存は冷蔵で3~4日。

長いもの甘酢漬け

保存袋を利用すると少量の調味料でもなじませやすい。そのまま冷蔵庫へ。

和えるだけでOK。もう一品欲しいときの、おかずの素。

いも類の中で唯一、生で食べられる長いもはぜひ積極的に取り入れて。めかぶや納豆、刻んだモロヘイヤなど、ねばねば食材と和えるとさらに栄養価の高い一品に。

【材料(出来上がり量約300g)】
長いも 1本(乱切り)
A[酢 大さじ2 砂糖 大さじ1 塩 小さじ1/2]
唐辛子 1本(小口切り)

【作り方】
密閉できる保存袋にA、唐辛子を入れ、長いもを加えてなじませる。すぐに食べられるが、保存は保存袋のまま、冷蔵で3~4日。

パセリのジェノベーゼ

カリウム豊富なパセリは使いやすいソースにして常備。

一度にたくさん食べられないパセリも、工夫次第で食卓の常連に。薄くのばして冷凍すれば必要な分だけ折って使える。茹でたじゃがいも、いんげんと和えて温サラダにも。

【材料(出来上がり量180ml〈160g〉)】
パセリ 40g
松の実 20g
パルメザンチーズ 30g
にんにく小 1かけ
オリーブ油 1/2カップ

【作り方】
オリーブ油以外の材料をフードプロセッサーに入れて撹拌し、オリーブ油を加え、さらに撹拌してなじませる。フードプロセッサーがない場合はパセリは包丁で刻み、松の実は丈夫なビニール袋に入れて麺棒などで叩いて細かくし、材料を混ぜる。密閉容器に入れ、保存は冷蔵で4~5日。

※冷凍する場合は、密閉できる保存袋になるべく平らに入れ、1カ月保存可。

\アレンジレシピ/魚のソテーの ジェノベーゼ添え

【材料(2人分)】
かじき 4切れ
こしょう 少々
小麦粉 適量
オリーブ油 大さじ2
ミニトマト 8個
ジェノベーゼソース 大さじ2~3

【作り方】
1.かじきにこしょうをふり、小麦粉をまぶし、フライパンにオリーブ油をひいて両面を焼く。空いているところでミニトマトも焼く。
3.器に盛り、かじきにジェノベーゼソースをかけ、ミニトマトを添える。

牧野直子

牧野直子 さん (まきの・なおこ)

管理栄養士

スタジオ食代表。健康と美容をテーマにレシピ開発、栄養指導に携わる。最新刊は『野菜の栄養と食べ方まるわかりBOOK』。

『クロワッサン』1076号より

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