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豊富な食物繊維で便秘解消&免疫力アップ、ごぼうの体に効かせる食べ方、選び方、調理のコツ。

野菜ごとの栄養素の特徴や効率のいい食べ方を知り、よりよい野菜生活で若さと健康を保ちましょう。
  • 野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

2つの【食物繊維】で、【便秘解消】、【免疫力】もアップ。

【栄養豊富な旬の時期】11〜1月
一般的には冬に旬を迎えるが、アクの少ない新ごぼうが初夏に。

【体に効く選び方】真っすぐで根が少ない
真っすぐでひげ根が細かく、根の先端まであるもの。泥付きのほうが鮮度が保たれる。乾燥していないか確認を。太過ぎず、細過ぎないこともポイント。

【体に効く食べ方】アク抜きをしない
ごぼうの有効成分は水に溶けやすいものが多いので、さらすとどんどんと失われる。皮はむかずにこそげ落とし、原則的には水につけるアク抜きはしないほうがいい。

【栄養を守る保存方法】泥付きを新聞紙に包む
最もおすすめなのは泥付きを新聞紙などに包んで涼しいところに置く方法。切ったり洗ったりしてあれば、紙に包んで野菜室へ。

【重さの目安 1本約250g】

[注目成分]
イヌリン
セルロース
リグニン
カリウム
マグネシウム
亜鉛

[エネルギー]
65kcal/100g

[食物繊維]
5.7g/100g

(Topics 1)欧米人が驚く木の根のように見える野菜

ごぼうは日本でしか作られず、日本人しか食べない野菜とされる。欧米人には木の根のように見える驚きの対象だが、豊富な食物繊維と独特の風味が健康を支える。ほかの根菜と組み合わせた煮物や炊き込みご飯、汁物などは抜群にヘルシー。

(Topics 2)油がアクを抑え、栄養を効率よく摂取できるポイント

これまでは、アク抜きするのが当然でしたが、アク=ポリフェノールが新常識。雑味だから取り除くと考えるより、特有のうま味として生かすのが健康的。油を組み合わせると、おいしさに変わるので、揚げ物や炒め物にするならアク抜き不要と覚えて。

食物繊維の量が抜群。ポリフェノールも!

昔から腸の掃除をする野菜といわれてきたごぼうには、不溶性食物繊維のリグニン、セルロースだけでなく、水溶性食物繊維のイヌリンも大量に含まれています。

不溶性の食物繊維は腸内のコレステロールや有害な物質をからめとったり、腸壁を適度に刺激して蠕動運動を促したりして、便秘やそれに伴う肌荒れを改善します。さらに大腸がんの予防にも役立ちます。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになって腸内フローラを整えたり、免疫機能を正常に保って抵抗力のある体をつくります。

さらにクロロゲン酸、タンニンというポリフェノールもたっぷり。いずれも抗酸化効果が高く、老化防止に役立ち、がん予防効果の研究も進んでいます。これらはアク成分で、皮の近くに多いので、皮はむかずに最低限をこそげ落とすようにしましょう。洗いごぼうより泥付きごぼうを選ぶことで、より多く摂取できます。

切ったごぼうは長く水にさらさずに調理するのもポイントです。

噛みごたえある食感に、食物繊維が感じられる。

ごぼうの魅力は食物繊維がたっぷり摂れること。繊維質が生み出す噛みごたえを生かした料理がおすすめです。洋風の揚げ物は香ばしさで量がたっぷり食べられます。たたきごぼうはレンジ加熱で栄養素をキープ。どちらも食物繊維がしっかり守られます。

ごぼうのマヨフリッター

【材料(2人分)】
ごぼう …… 1本(150g)
A  醤油 …… 小さじ1
  トマトケチャップ …… 小さじ1
  塩、胡椒 …… 各少々
B  小麦粉 …… 1/2カップ
  マヨネーズ …… 大さじ1
  水 …… 1/2カップ弱
  胡椒 …… 少々
揚げ油 …… 適量

【作り方】
1.
ごぼうは6~7cm長さに切り、太ければ縦半分に切る。耐熱容器に並べて水1カップを注ぎ、電子レンジで5分ほど加熱する。
2.鍋にAを合わせて火にかけ、1が熱いうちに加えてからめ、冷ます。
3.Bを合わせて衣を作り、2のごぼうをくぐらせ、170度の油で薄い色がつくまで揚げる。

梅ごまたたきごぼう

日持ち 冷蔵室で 2〜3日

\ゆでずにレンジ!梅の香りでさっぱり。/

【材料(作りやすい量)】
ごぼう …… 1本(150g)
梅干し …… 1個
A  すりごま …… 小さじ1と1/2
  みりん …… 小さじ1
  塩 …… 少々

【作り方】
1.
ごぼうは4~5cm長さに切り、耐熱容器に並べてひたひたの水を注ぎ、電子レンジで3分ほど加熱する。
2.まな板に移してめん棒などでたたき、冷ます。
3.梅干しは種をとって果肉を細かくたたき、Aを加えて練り混ぜ、②のごぼうを加えてあえる。

名取貴光

名取貴光 さん

食品成分研究者 医科学博士

山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

岩﨑啓子

岩﨑啓子 さん

管理栄養士 料理家

聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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