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アスパラギン酸で疲労回復! アスパラガスの体に効かせる食べ方や選び方。

野菜ごとの栄養素の特徴や効率のいい食べ方を知り、よりよい野菜生活で若さと健康を保ちましょう。食品成分研究者で医科学博士の名取貴光さん、管理栄養士の岩崎啓子さんに教わります。
  • 野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

(茎を食べる)アスパラガス[ ユリ科 クサスギカズラ属 ]

【アスパラギン酸】で【疲労回復】、【抵抗力】や【代謝】も改善。

【栄養豊富な旬の時期】5〜6月
国産の旬のものは初夏の時期に。そのほかの季節は海外からの輸入が多い。

【体に効く選び方】穂先が締まっている
茎の緑が鮮やかで穂先がしっかり締まったものが新鮮。切り口が丸く、茎がみずみずしくてハリがあることも重要。はかまが正三角形のものがおいしい。

【体に効く食べ方】手早くゆでる
加熱のし過ぎは厳禁。まるのままゆでるほうが損失が少ない。根元から湯に入れ、その後穂先まで入れてすぐに取り出す。水にとらず、ざるで冷ますこと。電子レンジでもいい。

【栄養を守る保存方法】乾燥を防いで立てて!
新聞紙などに包み、穂先を上にして野菜室で立てて保存。硬めにゆでて食べやすく切り、冷凍してもいい。

【重さの目安 1本約30g】

[注目成分]
アスパラギン酸
β-カロテン
ビタミンC
ビタミンB群
カリウム
ルチン

[エネルギー]
22kcal/100g

[食物繊維]
1.8g/100g

(Topics 1)しっかり締まった穂先が命!皮もムダにしない

最も大切にしたいのが穂先の部分。血管を丈夫にしたり、血圧の症状を抑える成分ルチンは穂先に存在する。収穫してから時間がたっていると、この部分が開いている。皮にも栄養が豊富なので、硬い部分以外はむかないようにするのもポイント。

(Topics 2)やわらかくて甘いホワイトアスパラは実は栄養的には△

ホワイトアスパラガスは、成長する茎を土で覆い、軟白(なんぱく)栽培したもので、やわらかくて甘く、独特のやさしい味わいがあり、食通の人には珍重されるが、栄養面で見ればグリーンの勝ち。おいしさと健康効果が相反する野菜の一つ。

疲労回復成分のアスパラギン酸を!

疲労回復成分アスパラギン酸は、アスパラガスから見つかったアミノ酸の一種です。代謝を改善する働きがあるので疲れを取り、体力を維持する効果があります。疲労物質などを体外に排出し、元気を維持する作用もあります。

皮膚や粘膜を健康に保つビタミンCや、高血圧やむくみを改善するカリウムが多く、穂先にはビタミンCと相乗効果があるルチンがたっぷりなのも特徴です。このため、血管を強化したり、血圧を安定させる力を一層発揮します。貧血に効果のある葉酸も豊富です。

グリーンアスパラガスにはβ-カロテンも豊富です。β-カロテン、アスパラギン酸、カリウムなどは熱に強いのですが、ビタミンC、ルチンが水溶性なので、ゆで過ぎによる損失を防ぐことが大切です。炒めたり焼いたりする場合は、下ゆでする必要はありません。

皮にも栄養が多いので、硬い部分を最小限にむきます。油で調理し、たんぱく質食材を合わせればさらに疲労回復につながります。

疲労回復や免疫力アップにさっぱりたっぷり食べる。

ゆでずに加熱すると断然健康効果が高いのがアスパラガスです。焼いたり炒めたりするときは下ゆでは不要。シャキッとした食感を生かして短時間で仕上げると、違ったおいしさがあります。チーズや海藻など、別の効果を持つ食材とうまく組み合わせるのがおすすめ。

アスパラのチーズ焼き

【材料(2人分)】
グリーンアスパラガス …… 2束(200g)
塩 …… 小さじ1/5
胡椒 …… 少々
オリーブ油 …… 小さじ1と1/2
パルメザンチーズ …… 大さじ1
温泉卵 …… 1個

【作り方】
1.
アスパラガスは硬い部分を切ってはかまをそぎ、耐熱皿に並べて塩、胡椒、オリーブ油をかけ、チーズを散らす。
2.オーブントースターで10分ほど焼き、こんがりとしたら温泉卵をのせる。

アスパラガスの塩昆布きんぴら

\昆布と油で効果倍増の箸休めにいい副菜。/

【材料(2人分)】
グリーンアスパラガス …… 1束(100g)
塩昆布……3つまみ
ごま油……小さじ1

【作り方】
1.
アスパラガスは硬い部分を切ってはかまをそぎ、斜め切りにする。
2.フライパンにごま油を熱し、1を炒めて塩昆布を加え、炒め合わせる。

名取貴光

名取貴光 さん

食品成分研究者 医科学博士

山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

岩﨑啓子

岩﨑啓子 さん

管理栄養士 料理家

聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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