「家事、仕事、運動、眼精疲労、精神的な疲れ、睡眠不足……あらゆる疲れは自律神経の疲労から起こります。私たちが生きていくために必要な体内のバランスを整えてくれるのが自律神経なわけです。呼吸、体温、消化吸収など、さまざまな現象をコントロールしています」
言ってみれば、体の司令塔のようなもの。全身の調整をまるごと一気に引き受けているのが自律神経というわけだ。
「自律神経には交感神経と副交感神経という2つがあります。交感神経は、体を活発に活動させるときに働きます。たとえば、運動をすると心拍数が増え、血圧が上がり、汗をかき、呼吸が速くなります。こうした作用は、交感神経の興奮によるものです。反対に、体がリラックスし、落ち着いた状態のときに働いているのが副交感神経です。眠っているときや食事中などには、副交感神経が体に働きかけ、胃腸の働きを活発にする、心肺機能を抑えるといった調整を行っています」
食べすぎ、飲みすぎ、歌いすぎ……とかく暴走しがちな人にとっては、命を守ってくれる、ありがたい存在ともいえる。
「食べたものを消化して、栄養素として必要なところに届けるのって、思っている以上に大変な作業なんですね。普通の食事でも体にとっては重労働なのに、暴飲暴食となると、体にとっては暴力以外の何物でもないわけです」
■ 胃もたれは自律神経からのもう食べないでというサイン。
これ以上、食べられたら本当に無理なんですけど、という声なき声を発するのも自律神経の役割だ。
「調整するだけでなく、危険信号を発するわけです。もうこれ以上、食べないでほしいから胃が疲れていると感じさせる。それが、『胃もたれ』の正体です」
ウコンのドリンクを飲んでまで、さらにもう一軒行ったりするのは、自律神経にとっては自殺行為に等しい。
疲れたくなかったら、自律神経に危険信号を出す必要を感じさせなければいい。自律神経をピリピリさせなければ自然と疲労感もなくなってくるはずだ。