からだ

疲れているのは体ではなく脳? 疲労回復の鍵は「自律神経」にアリ。

疲れているのは体ではなく脳。疲れって、そもそもなんなんでしょう。
全身の調整をしてくれている自律神経が鍵を握っているというが……。
  • 撮影・水野昭子 イラストレーション・松元まり子 文・佐野由佳、小沢緑子

(1)体が疲れていると感じるのは錯覚にすぎない。

疲労とは体の疲れだと思っていませんか? 東京・睡眠疲労クリニックの院長、梶本修身さんに、そもそも疲労とはどういうものなのかを聞いてみました。

「疲労というと、体の疲れと思いがちですが、じつはそうではありません。家事をして体を使った疲労も、スマホによる眼精疲労も、イライラやストレスによる心的疲労も、すべての疲れの原因は脳にある『自律神経』の疲れが原因なんです」

掃除をして疲れたとしても、体の疲れではないとはどういうことだろう。

「かがんで、ふき掃除なんてしたら、ハァハァいいますから、体が疲れていると思う気持ちはわかります。でも、その程度の運動をして体が疲れたと感じても、実際には筋肉や内臓はほとんど疲れていないということが研究でわかっています」

■ 脳の自律神経が働くほど、体が疲れたと感じてしまう。

「では、どこが疲れているのかといえば、脳です。運動すると多くの酸素を必要とするため、自律神経は呼吸や心拍、血圧を高めます。しかし、高めすぎると心臓発作や脳卒中を起こしてしまうため、常に需給バランスをとって調整しているのです」

体調を整える仕事をしているのが、脳にある自律神経というわけだ。

「つまり、体が疲れているのではなく、脳が疲れると、人は疲労を感じるのです。体が疲れたと感じているのは、錯覚にすぎません。自律神経が疲れると、眉間のあたりにある眼窩前頭野(がんかぜんとうや)という場所にシグナルを送り、これ以上運動させないように、『体が疲れている』と勘違いさせる。つまり、疲労感は命を守ろうとする、動物共通の防衛本能なんです」

疲れを感じないようにするには、自律神経が働かなくてすむようにすればいい。

「脳を疲れさせないというと難しいように聞こえますが、誰でも簡単にできることが山ほどあります。『疲れないコツ』がわかれば、疲労感はかなり軽減されるはずです」

自律神経は、いつも働きどおし

呼吸器、消化器、循環器など、私たちの生命活動のほとんどに自律神経がかかわっている。働き者ゆえに、疲労もたまってしまう。

自律神経が働くほど疲れてしまう

同じ距離を歩くのでも、夏と春では疲労感に大きな差が。夏は体温や心拍を調整する自律神経がフル稼働するために疲労感が強い。

(2)自律神経の老化が疲れやすさの原因に。

「あまり知られていませんが、自律神経は老化が激しいんです。若いときのピーク時から60代くらいまでの間に7割も減ってしまう。さらに、女性は更年期障害になる40代くらいから50代後半くらいまで、自律神経が乱れがちで不定愁訴が出やすい」

自律神経とはよく耳にはしていたけれど、そんなに減ってしまうとは……。

「自律神経が働く過程で活性酸素が発生して、細胞が酸化して錆びてしまうんです。細胞が錆びると、自律神経の機能が鈍ります。いったん鈍くなっても、もとに戻る一過性のパワーダウンが『疲労』、錆びきって動かなくなるのが『老化』です」

錆びきった自律神経はどうすれば復活させられるのだろう。

「う~ん、残念ながら、一度老化してしまった自律神経は、ほぼ復活できません。だからこそ、きちんと睡眠をとって、自律神経を無駄に疲れさせないように、生活習慣を改めることが大事です。食事や運動はもちろん、人付き合いなどにおいても、ちょっと気をつけるだけで、自律神経が疲弊するのを防ぐことはできますから」

自律神経機能は、20歳代から年々低下

自律神経は年齢を追うごとに急降下し続け、復活はほぼ見込めない。年齢を重ねると疲れやすくなるのは、自律神経の老化が原因だったのだ。

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