からだ

肩こりや腰痛、日常生活の中でできるケアで筋肉の緊張を緩めてよう。

痛いから動きたくない。で、動かないとますます症状が進む、肩こり・腰痛。その原因の元を明治国際医療大学教授の伊藤和憲さんに教わり、探りながら、正しいケアを考える。
  • 撮影・青木和義 イラストレーション・山口正児 文・黒澤祐美

正しい寝姿勢がとれて、腰に負担をかけない寝具を選ぶ。

肩や腰に負担がかからない理想の寝姿勢は、正しい姿勢で立ったときの背骨の湾曲を維持したまま寝そべった状態。ベッドが硬い、もしくは柔らかすぎるといった場合は、背骨の正常なカーブが保てず、寝ている間にじわじわと筋肉に偏って負荷をかけてしまう。

「とくに柔らかすぎるベッドは体の重い部分が沈み込み、お腹と腰に負担がかかります。寝返りも打ちにくいため徐々に筋肉が硬直し、血液循環が悪くなり、その結果腰痛を引き起こします」

一方肩こり予防には、頸椎のカーブに合った枕を選ぶことも大切。

「枕が高いと頸椎が極端なくの字に曲がり、鎖骨と頭をつなぐ筋肉に負担がかかります。逆に低い場合は顎を突き上げる状態になり、腰椎がくの字に曲がってしまいます。すると、頭と背骨をつなぐ筋肉に負担がかかることに。ベッドの上に仰向けに寝たときに、体勢がツライと感じる部分にタオルなどを入れることで、バランスを整えてみましょう」

柔らかすぎるベッドは腰が沈み、腰痛の原因に。

湯船にゆったりと浸かり、心と体をリラックスする。

「仕事でも家事でも頑張りすぎてしまう人を、車でたとえて『アクセル型』と呼んでいます。言い換えれば、ストレス型です。とくに自分のための時間がなかなか取れない現代女性に多く、体が常に“オン”の状態なので筋肉が休まらず、緊張して硬くなっている傾向が強い。筋肉は固まったままストレッチや体操をしても、本来の効果を得ることができません。そのため、自ら体をオフにする術を用意しておくことが重要です」

体をオフにする、つまりリラックスした状態を作るには、いい香りを嗅ぐ、好きな音楽を聴く、美しい景色を見るといった五感を刺激することが効果的とされている。

「リラックス法の一つに、入浴があります。入浴剤のいい香りが脳をリラックスさせるだけでなく、湯船に浸かって筋肉の深部体温が高まると、筋肉が緩みやすくなります。38〜40度ぐらいのお湯に15分程度、ゆっくり浸かる。さらにお風呂上がりに白湯を飲めば、深い眠りにつくことができます」

好きな香りの入浴剤を入れることで、脳も安らぐ。

アプリを活用し、体の状態に合ったケア法を知る。

痛みやこりの原因は、主にストレス、生活習慣、老化といった3つのパターンに分けられる。自分の腰痛や肩こりの原因がどれに当てはまるのかを判断するには、伊藤さんが開発したサイト「YOMOGI」がおすすめ。ソフトを立ち上げて体に関する簡単な質問に答えると、アクセル型(頑張り屋さん型)、ガソリン型(生活習慣型)、エンジン型(基礎体力低下型)のいずれかに分けられる。

「アクセル型は交感神経が優位になっているため、体を緩める・温めるといったケアが必要になります。一方で血の循環が悪くなっているガソリン型は生活リズムと・食事の見直し、そして筋力が不足しているエンジン型は主に体を鍛えることが必要になる。このようにタイプによって行うべきケアが異なり、正しい方法を知ることが大切になります。サイトでは体の状態に合ったセルフケア方法(養生法)を確認できるので、自分に足りないものを把握し、日々のセルフケアに活用してみてください」

「YOMOGI」へのアクセスは、https://www.yojyo 1192.com/ から。

伊藤和憲(いとう・がずのり)さん●明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。専門領域は筋骨格系の痛みに対する鍼灸治療で、特に筋肉の痛みを専門にしている。『よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ』など関連著書も多数。

『クロワッサン』1021号より

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE

※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

人気記事ランキング

  • 最新
  • 週間
  • 月間