趣味が高じて、50歳でハンドメイド作家になった宮石さんの働き方──いくつになっても私らしく稼ぐ
撮影・マスダヒロシ 文・長谷川未緒
自分の時間をすべて自由に使えるハンドメイド作家が私に合っています
宮石由美子(みやいし・ゆみこ)さん 60歳
「以前から趣味で、自分や3人の子どものためによく服を作っていました。50歳目前、娘からオンラインのハンドメイドマーケットがあることを教えてもらって、『出してみたら』と。このときは仕事にすることなど考えもせず、面白そうだから挑戦してみることにしました」と語るのは、〈Mauve pink(モーヴピンク)〉の屋号で活動している宮石由美子さんだ。服作りは自己流で当初は技術もなかったため、最初に出品したのは、水玉柄のコットンの両端を縫い合わせ、ウエスト部分にゴムを入れたスカート。
「でも売れなくて(笑)。売れなければ自分で着ればいいと思っていたので別によかったんですが、次に少し改良してウエストに紐を入れ、柄をストライプで作ってみたら、売れたんです。それがうれしくて」
それが3月のこと。そしてその年の夏、頭からかぶるだけのリゾートドレス風ワンピースを作ったところ、月に10枚以上売れた。子どもたちはすでに独立していたこともあり、自分ひとりなら食べていけるのでは、と会社をやめて専業になった。
「会社員だった頃は、限界まで働いているのに感謝してもらえることが少なかったんです。洋服作りは、買ってくれた人から『かわいかったです』とか『ありがとうございました』とかダイレクトにメッセージがきてうれしかったし、励みになりました。写真を替えるとすぐに売り上げに影響するなど、やったことが返ってくるのも楽しかったですね」
著作権フリーかつ商用利用可能なパターンを使ったり、自分の気に入っている服を参考にしたりしながら、服作りに熱中。ハンドメイドマーケットのサイトで特集を組まれると、一気に売り上げが上がった。
「知人に手伝ってもらいながら、寝ずに作りつづけました。忙しいけれど、誰から指図をされるわけでもなく、働く時間から何からぜんぶ自分で決められるので、会社員時代と比べると精神的にはかなりラクになりました」
現在は新作のデザインや試作が仕事の中心で、製品の縫製はスタッフにまかせている。ハンドメイドマーケット市場に事業者も参入するようになり、時代の変化も感じているそう。宮石さんのブランドはリピーターが多く、また旧作もレビューの多いことから人気のため、続けられていると感じている。
「最近、YouTubeもはじめました。今後はそういったツールを使っての発信も積極的にしていきたいです。服を売ろうとするだけでは競争過多の世界で負けてしまう。生活や生き方に共感してもらったうえで、私のプロダクトを購入してくれる方が増えたらうれしいですね」
『クロワッサン』1165号より
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