読む・聴く・観る・買う

『ていだん』小林聡美さん|本を読んで、会いたくなって。

話ベタはそのままですが、濃密な時間でした。

こばやし・さとみ●1965年、東京都生まれ。俳優。ドラマ『すいか』、映画『かもめ食堂』『めがね』で人気を博す。著書に『読まされ図書室』『散歩』など。11月28日まで『24番地の桜の園』(東京・Bunkamuraシアターコクーン)出演中(松本、大阪公演あり)。衣装協力・ニット4万円(MIYAO☎03・6804・3494)

撮影・関めぐみ ヘア&メイク・北 一騎
スタイリング・藤谷のりこ

俳優でエッセイの名手でもある小林聡美さんの新刊は鼎談集。対談でもなく、3人で話すことを選んだのは、自らを「話ベタ」という小林さんの希望だったようだ。

「子どもの頃から、あまり自分の話をする性格じゃなくて。みんなでワイワイやってる中にいるのは楽しいんだけど、で、どうなの?と自分に振られると『ん……どうでもいい』とうまく話せない。そんな私の挑戦でした。対談だとしっかり同じエネルギーで向き合わなきゃいけませんけど、3人ならいい具合に遊びができるかと」

井上陽水さん、川上未映子さんとは「10年後、私たちは……」、加瀬亮さん、前田敦子さんとは「俳優という職業に向き合う!」をテーマに。また、映画『かもめ食堂』から10年後のもたいまさこさん、片桐はいりさんとの顔合わせも実現。舞台となったヘルシンキで、小林さんが滞在先の部屋で鉢植えを育てていたエピソードが片桐さんによって語られたり、片桐さんが年下の小林さんに常に敬語で接するなど、ゲストの意外な素顔が覗くと同時に、小林さん自身の物の考え方、処し方が随所に表れるのも本書の魅力だ。

「なぜ、まねるのか?」、江戸家小猫さん、南伸坊さんとの回では、小林さん自ら、ものまね好きを告白。

「本ではすごく遠慮がちに話してますが、実はけっこう好きなんです。プロ、先輩を前にして私も! なんて言えませんでしたけど(笑)」

ちなみにどんなものまねか聞いてみると、

「那須の牧場でクジャクの鳴き声を初めて聞いたんです。へえ、こんなふうに鳴くんだと思って、周りに友だちしかいなかったから鳴きまねを『グェーッ』って。そしたら、クジャクが眼をきらーん。私にターッと寄ってきて求愛ダンスを(笑)。いや、クジャクに間違えられるくらいうまいんです」

登場する36人のなかには、知人、俳優仲間はもちろん、小林さんが本やドキュメンタリー番組で知り、オファーしたゲストも。

「絵本作家の甲斐信枝さんや翻訳家の松岡享子さん、俳人の宇多喜代子さん。ふだん、下手をすると一日まるで人と口をきかない日もある私としては(笑)、会いたかった先輩方にお目にかかれて、濃密な時間を過ごせました。みなさん80歳を過ぎても前向きで元気に過ごしてらっしゃって。『人生はトータルで考えればいい』という宇多先生のメッセージにはほんとうにそうだなあ、と。私もこんなふうに年をとりたいなと思いました」

中央公論新社
1,600円

『クロワッサン』962号より

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE