原田さんはラジオドラマの脚本で賞を受賞したことがきっかけとなって作家になった。本書に収められている『リトルプリンセス二号』がその受賞作。
骨董市を妻と見て回るのが好きな岡村がみつけた伊万里の白磁の火鉢と新種の睡蓮の種。「訳ありだよ」とささやく骨董屋の言葉にのせられて火鉢を買い、水を張って種を蒔くと、美しい全裸の女性にそっくりな「メシベ」を持った花が咲き、岡村は虜になってしまう……。じつはこの話、聡子という主婦が創作しているラジオドラマという設定。聡子は、子育てのかたわら「ライオン先生のラジオドラマ教室 ブログ」に励まされながら、シナリオライターを目指しているのだ。
「わたしも結婚後、夫の転勤で北海道に行き、主婦をしながらインターネット上でシナリオの書き方を教えてもらっていました」