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【前編】離婚にまつわるお金の話。

 文・石飛カノ イラストレーション・斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)
離婚にまつわるお金のことを弁護士の比留田薫さんに聞きます。

【慰謝料】証拠がカギ。ただし深追いしないこと。

慰謝料を請求できる期間は離婚成立から3年以内。請求可能な主なケースは浮気などの相手の不貞、家出し生活費を入れない等の悪意の遺棄、DVなどの暴力があった場合だ。逆に請求ができないのは、性格や価値観の不一致といった、責任がどちらにあるとも言えないケースの場合である。

「明らかな不貞や家庭を顧みずに生活費を入れない、暴力を繰り返す……等、相手が有責配偶者(離婚事由をつくった者)のときは慰謝料を請求できます。といっても証拠があればの話です」

浮気の場合は興信所で調べた資料、GPSの記録、暴力や暴言の場合は写真や日記、診断書など。とにかく些細なものでもいいから、できるだけ多くの証拠を集めておくことがカギ。

「ただ誤解があるようですが、慰謝料は決して大きな金額ではありません。病気の奥さんをひとり残して面倒を見ないとか、何年も家を出てしまうとか、それくらいひどいことをすると大きい金額を請求できますが、100万円近辺が多いのではないでしょうか。どんなにリッチな家庭でも400万円くらいまででしょうか。有名人の離婚で耳にする高額な慰謝料は、財産分与かプライベートなことを口外しないという口止め料が含まれている等、様々な費用が合算されていると思います」

一般の人々がイメージしている慰謝料は現実のものとはかなり異なるようだ。何千万という慰謝料を支払う経済力を持っている人はそうそういない。またそんな判決は稀有なのだ。

「慰謝料を請求するほうは、絶対に相手が悪いと思っているので執着します。すると裁判で結局ドロドロに。でも、金額が大したことがない割に、労多くして益が少ない。疲弊していくだけなので、深追いするのはおすすめできません。とれたとしても200万円以下の慰謝料の請求で1年も2年も争い続けるのははっきり言って無駄です。サッと見切りをつけて、新しい人生設計を考えたほうがいいと思いますよ」

【財産分与】同居中にすべての財産をリストアップ。

財産分与に関しては、夫婦の話し合いで比較的自由に決めることができる。話し合いがまとまれば、その内容をやはり公正証書に明記。話し合いで決着がつかなければ家庭裁判所に離婚調停を申し立てる。

離婚の合意が得られないという理由だけでなく、財産分与の条件が折り合わないという理由で調停を申し立てるケースも多いようだ。

「慰謝料と同様、財産分与に関しても証拠が重要になってきます。まずは夫名義の財産がどのくらいあるのかを把握しておくことです。別居した後、相手が正直に財産を申告してくれるかどうかは分かりません。なので、同居している間に、できる範囲で調べておくことが重要です」

「慰謝料と同様、財産分与に関しても証拠が重要になってきます。まずは夫名義の財産がどのくらいあるのかを把握しておくことです。別居した後、相手が正直に財産を申告してくれるかどうかは分かりません。なので、同居している間に、できる範囲で調べておくことが重要です」

夫婦の共有口座を作り、生活に必要な資金はそこから出す。そして残りはそれぞれ管理している共働き夫婦の場合は、財産分与で揉めることはあまりない。一方、妻が扶養の範囲内の仕事をしていたり、専業主婦の場合は、家計をしっかり握っておくほうが断然有利。

預貯金、現金、不動産、保険、有価証券、家財道具、車、美術品、宝石などなど、夫婦の共有財産をすべてリストアップする。保険は「解約払い戻し金のお知らせ」が届いたら、その時点の金額を写し取っておく。

「対象になるのは、婚姻期間中に築いた財産。結婚している間に買った住宅は対象になりますが、親から相続した住宅は対象になりません。不動産の場合は、名義にかかわらず半々に分けるというのが基本。家を守って財産の形成に貢献したから、名義にかかわらず半分に分けましょうという考え方です」

ただ、不動産の中で難しいのは、ローン付きの物件。

「専業主婦の妻がそのまま家に住みたいという場合、ローンの名義書き換えは銀行がなかなか応じてくれません。不動産を妻名義に変えることができても、夫がそのままローンを払い続けてくれればいいですけど、払ってくれないケースが多い。そこでけっこう揉めます。できることなら売却してその金額を分けるのが一番いい方法だと思います」

『クロワッサン』940号より

●比留田薫さん 弁護士/大原法律事務所所属。離婚、相続、破産など民事全般を扱う。監修書に『必ずよくわかる! 離婚の手続き・すすめ方・お金』(主婦の友社)がある。

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