くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】不登校になった中学生の娘にかける言葉がわかりません。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は両親へのトラウマを抱える娘を持つ父親からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
はじめまして、山田さん。私は41のバツイチのダメな父親というか、男です。
複雑な家庭環境で育ち、25で子持ちの女性と結婚し、二人の娘と義理の息子二人がいました。
約9年前に離婚して独り身となりましたが、実の娘である長女が中学で不登校となり、今年通信制の高校へ入学して何とか前に進もうとしています。私と元嫁に対してトラウマやコンプレックスが強く、本音をぶつけられない位、バカな親二人が傷つけてしまったんです。
私たちの言葉は今のあの子の心にどうしても届かないんです、力を貸して欲しいです。 (シンジ/ 男性/ 個人でリフォーム業、便利屋業みたいな事をしています、今は独り身で過ごしてます)

山田ルイ53世さんの回答

シンジさんと元奥様に対して、強い「トラウマやコンプレックス」を抱えるほど、「バカな親二人が傷つけてしまった」とのことですが、一体何があったのか、推し量る術もありません。
残念ながら、本音を曝け出すことをしなくなった娘さんとの関係をたちどころに修復する、"魔法の言葉"の持ち合わせなど、誰にもないでしょう。
いずれにせよ、「中学校で不登校」となった娘さんが、「通信制の高校へ入学」して前に進もうとしている。
今は、これが一番大事なこと。

「私たちの言葉は今のあの子の心にどうしても届かない」と悩むお気持ちは勿論分かりますが、今は親として、(既にそうされているとは思いますが)金銭面など彼女の環境を整えてあげるに止め、静かに見守るのが良いのではないでしょうか。
むしろ、"言葉で"届けようとするのは、逆効果かもしれません。

娘さんのケースとは違いますが、筆者も中学2年生から6年間引きこもりを経験しました。
当然、その間、学校へは通っていません。
結局、20歳手前で一念発起し、大検を取得して進学することになるのですが、以前の自分が思い描いていた将来には繋がらぬ道を、不本意ながら、それでも、何とか前に進んで行く……そういうときの心境やしんどさは、多少理解出来るつもりです。
今、彼女は、自分の人生を立て直すのに手一杯。
可能な限り"シンプル"でいたいのだと想像します。

相談者は現在、独り身。
娘さんに罪滅ぼしをしたい、そして、家族皆で暮らしていた日々が恋しい。
彼女の件を、今のご自分の生活の支え、モチベーションにし過ぎていませんか。
あくまで筆者の想像で、見当違いであれば申し訳ないのですが、もしそうなら……それは相談者の「欲」でしょう。

今はいくら言葉を届けても、"新聞受け"に何日分も溜まっていくだけ。
しかし、電気メーターを見れば、円盤は静かに力強く回っている。
それでよしとしましょう。
例え、あなた達を拒絶する"部屋"であっても、その家賃を払い続けるのは親しかいないのです。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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