3月初旬。息子が通う保育園の年長さん家族が他県に引っ越すことになり、園の仲間が集まり、公園で送別会をした。
卒園と共に引っ越しをする年長のリコちゃん。息子はまだ2歳児のクラスだったので年長との交流は少ない。しかし、年長に憧れを抱く息子は張り切って送別会に参加したのだった。
会は盛況、父母はすっかり酔っ払い、子供達はそのまわりを駆けずり回っている。宴もたけなわ、そろそろ帰る準備を……と思っていたところでリコちゃんのお母さんにコソッと話しかけられた。
「ねえ……しまおさんて……“たまむすび”出てたよね?」
わたしは思わず「ええっ!」と声をあげてしまった。
園でラジオの話など、したことなかったのに。しかも出演したのは数年前。ずいぶん前からリスナーではないか。
「なんでもっと早く言ってくれなかったんですか!」
悔しくて仕方がなかった。ラジオリスナーなどいないと思っていた保育園の中で、やっと見つけた同胞がよりによってあと数週間で東京を離れてしまうなんて。しかし、ショックに打ちひしがれたのもつかの間。
「わたしも宇多丸さんのラジオ聴いているよ」
なんと、同じクラスのお母さんがレギュラー出演中の番組を、前身番組から聴いていたのだ。
これには驚きと共に、口をつぐんでしまった。レギュラー番組はなあ、聴かれてるとなあ、恥ずかしいんだよなあ……。