くらし

祖母と一緒に聴いていた 「お色気大賞」のこと。│しまおまほ「マイリトルラジオ」

同居していた祖母の日課だった毎朝のラジオ。祖母とラジオを聴きながら朝食をとるのがわたしの楽しみだったのだが……。

それは小学校中学年の頃だったと思う。毎日聴いていたはずのTBSラジオが突然、文化放送に変わったのだ。朝起きて、食卓で流れているラジオの雰囲気が何か違うと、耳をすまして気づいた。祖母はいつもと同じように台所へ向かい、他は何一つ変化はない。まるで、間違い探しクイズのよう。理由は、何となく気が引けて聞かないままだった。

その謎が解けたのは、つい数年前。「大沢悠里のゆうゆうワイド」の「お色気大賞」を聴いていた時のこと。午前中からの放送とは思えないような際どい「お色気」話で有名なこのコーナー。過去の放送の傑作選が流れてハッとした。『わたし……これをおばあちゃんと聴いたことがある!』。内容は、投稿者とヤブ医者産婦人科医との出来事(これ以上内容は書けない!)。こどものわたしは、その意味を全くわかっていなかったが、祖母は「こんな放送……!」とやたらに怒っていた。その時は、てっきり医者に対して怒っているのだと思っていたけれど。文化放送に変わったのは、きっとその直後のことだったのだろう。

ほどなくして、ラジカセのチューナーはいつの間にかTBSラジオに戻っていた。しばらく慣れない番組とCMに落ち着かないなあ、と思っていたわたしだったが、祖母も同じ気持ちだったらしい。しかしそれ以降「お色気大賞」を聴いた記憶はない。

しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。

『クロワッサン』988号より

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