くらし

【編集部こぼれ話】料理の常識は、時代に連れ人に連れ。

5月10日発売の『クロワッサン』997号「強い骨、しなやかな血管をつくる、 豆・ごま・海藻。」のこぼれ話をお届けします。

今回の「豆・ごま・海藻」特集に向けて、料理研究家の方との打ち合わせが続いた時のことです。こちらから企画の意図の説明をしたのち、ある料理家から聞かれました。「『クロワッサン』のレシピで、使ってはいけないものはありますか?」

これは時どきあること。料理家はテレビ、雑誌、近ごろはWeb媒体などさまざまなメディアで仕事をされています。メディアによっては、読者・視聴者の想定年代や料理スキルによって、細かい規定を設けているそうです。それぞれ生の声を反映してのことでしょうから、さまざまな媒体のルールを頭に入れている料理家は、家庭料理のトレンドの最先端を知っていると言えるかもしれません。

今回個人的にいちばん驚いたのは、「みりんは使ってもいいですか?」と聞かれたことです。みりん、めちゃくちゃ使いますよね? でもその方によると、「若い世代だと、キッチンにみりんのない家が多いらしい」とのことです。えー、みりんなかったらブリの照り焼きどうするのー。

そして私自身は特に鍋のだしにたっぷり使います。だしパック2袋を水に入れて沸かしたあと、みりんと醤油をおたまで1杯ずつ、塩適量。このレシピ、みりんはちょっと良いものを使うのがコツなので、なしなんてありえません。それを言うと、「でもね、媒体によっては、日本酒にちょっと砂糖を入れたもので代用可能だって言われるんですよ」。そうかー、そうなのか。その方はさらに続けました。「『辛い料理特集』と明記されたとき以外に辛いレシピを提案すると、不採用になることが結構ありますね」

ちなみにクロワッサンにはそういう明文化されたルールはありません。もちろん皆で相談をしながら誌面を構成するものの、基本的に担当者おのおのの感覚に任されているとでも言いましょうか。

私も主婦歴27年の目線で「この材料はわざわざ買わないかなー、どこにでも売っているものじゃないし」と思ったときだけ、料理家に伝えるようにしています。ドラゴンフルーツみたいな中南米の果物とか。また、「必ずしもなくてもいいけど、もしあれば、そして嫌いでなければ使うと更に美味しい」というときは「あれば○○をのせる」という書き方をします。ミントの葉とか。

パクチー(香菜)も昔はそういう扱いをされる食材でした。このところ手に入りやすくなり、食べられる人も増えてきました。今回も登場していますが、やはり苦手な人もいるかと思い「“好みで”パクチーをのせる」と書きましたが、あとで校正チームから「この“好みで”は外してもいいかも」という指摘がありました。もうそういう時代なのね。

写真はそんなこんなを乗り越えた「常備してるアレでもう1品」の撮影風景です。みりん使ってます。辛いレシピもあります。いずれもとても美味しかったです。どうぞ誌面でご覧あれ。(担当E)

5月10日発売の『クロワッサン』997号「強い骨、しなやかな血管をつくる、 豆・ごま・海藻。」

日本人の食卓にはおなじみ、和食の基本ともいえる食材、豆・ごま・海藻。米とともに伝統的な和食には、どれも欠かせないもの。この特集では、豆・ごま・海藻の持つ実力を見直して、飽きずに毎日たっぷりと、おいしく食べる、さまざまな方法を考えました。
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