くらし

名居酒屋に精通する太田和彦さんに教わる、とっておきの6軒は?

  • 撮影・谷 尚樹、日置武晴 文・池田祐美子

【根津】根津(ねず) たけもと

フルーツトマトと季節野菜のサラダ1、440円。甘い身のホタルイカが入っている。
のれそれの卵とじ1,680円。京菜花、空豆も入り、春の訪れを見て食べて味わう季節料理。
毎日の仕入れ次第でメニューは日替わり。 ワイン、シャンパンの品揃えも。

季節料理とひねりのある一品を楽しみに。

毎朝、豊洲市場から戻り6時から仕込みが始まる。季節を的確にとらえ、彩りとバランスに長けた料理が評判だ。筍、ウドなど山の恵みに、ホタルイカを合わせたサラダや、定番のポテトサラダはフキノトウで苦味を加えたり。日本酒も季節のもの、春は生酒が揃う。

●「根津の街歩きも含めて楽しむ、隠れ家のような一軒。名店で19年にわたり腕を磨いた安心感が、人柄にも料理にもある」

カウンター8席とテーブル5卓。地下1階とは思えない開放感がある、和モダンな造り。

●東京都文京区根津2-14-10 B1 TEL:03-6753-1943 営業時間:17時(土曜16時)〜23時(22時30分LO) 日曜休(翌日が祝日の場合営業、月曜休)

【下高井戸】居酒屋 おふろ

春子鯛のきらず和え900円。酢でしめた春子鯛とおからが、すっと舌になじむ。
野菜料理盛り合わせ1,200円。アスパラ昆布じめ、筍の土佐和え、菜花とシメジの白和えなど。
お燗の途中で徳利を回して味を柔らかくし、さらに日本酒を足して仕上げる。

アルコールも料理も、守備範囲の広さが人気。

店名は、「疲れを癒やす場に」との思いから。日本酒だけでなく、ワイン150種、お茶から点てる茶割りもあるという奥の深さ。料理もしかり。刺身、前菜に続き、肉料理やパスタが並ぶのがユニークだ。料理とお酒を自由に選べる柔軟さこそ、長年愛されている所以。

●「安心してゆっくりできる、レストラン感覚の居酒屋です。ワインもパスタもあるが、日本酒もいいものを揃えている」

カウンター12席、テーブル5卓。南アフリカ産ワインのクオリティの高さに着目し、全9種!

●東京都世田谷区赤堤4-45-10 B1 TEL:03-5300-6007 営業時間:17時〜25時(24時LO) 火曜休 日本酒は少量ずつを仕入れ、こまめに替える。

【久我山】器楽亭(きらくてい)

春野菜、茶ぶりナマコとウニの白和え。ナマコ、出汁、ウニが口の中で三位一体に。
八寸。自家製明太子の粕漬け、蒸し鮑、自家製蟹みそ、炊いた蛸など、旬の味が一堂に。
店は今年で12年目に入る。6年前からコース料理のみのスタイルに変更。

魚料理が絶品。東京にいながら味わう幸せ。

メニューはおまかせのみ。先付、八寸、椀物と続くが、「あくまでもお客さん目線、うちは居酒屋です」と、店主。全国をめぐり仕入れる魚、特に白身魚に力をこめる。その日に締めたての「身がいかったもののみ」。おなかも気持ちも満たされ、気楽に過ごせるのが「器楽亭」。

●「郊外住宅地の名店ですね。フレンチを他店で学び居酒屋を経験した店主は腕利き。旬の料理が味わえます」

カウンター9席とテーブルで合計24席。

●東京都杉並区久我山5-7-9 TEL:03-3332-2919 営業時間:18時〜24時(最終入店22時) 水曜休 料理はおまかせコース1万2000円〜。

太田和彦(おおた・かずひこ)●グラフィックデザイナー、作家。1946年北京生まれ、長野県育ち。日本全国の居酒屋を日々訪ねてめぐり、居酒屋や酒に関する著書を多く手がける。「〝いい酒、いい人、いい肴〟に歴史が加わった店がベスト」

『クロワッサン』995号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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