血管と骨を若々しく保つために、いつもの生活でできることは何?
撮影・岩本慶三 イラストレーション・竹井晴日 構成&文・堀越和幸
【血管】水溶性食物繊維の食品を積極的に摂る
血管と骨を若返らせるための日常の工夫について見ていこう。まずは血管に良い効果をもたらしてくれる食物繊維の話題から。
「不溶性と水溶性の2種類がありますが、不溶性食物繊維は便通にいい。そして水溶性食物繊維のほうは血糖値の急上昇を抑えるのとLDL値を下げる効果が期待できます」(日本整形外科学会専門医・伊藤薫子さん)
どちらを摂るのも正解だが、こと血管の健康を考えるなら水溶性を意識するといい。
「加えて、水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり短鎖脂肪酸を産生することが知られていて、この短鎖脂肪酸には血管の働きを保ったり、血圧の調節を助ける働きがあるといわれています」
水溶性食物繊維を含む代表的な食材は、海藻やオートミール、大豆など。ちなみに不溶性食物繊維はおから、ごぼうなどに多く含まれる。
【血管・骨】若返りホルモン「オステオカルシン」を意識
オステオカルシンという言葉を聞いたことがあるだろうか。骨から生み出されるこの骨ホルモンは、またの名を“若返りホルモン”ともいわれていて、近年、注目をされている。
「骨を作る際に骨芽細胞から分泌されるたんぱく質の一つですが、骨にとどまらず血液で運ばれて全身を元気にする作用を持っています」
例えば、動脈硬化を防いだり、認知症や記憶機能改善を図ったり、あるいは肝臓や小腸の機能を高めたり、最近では糖尿病の予防効果があることもわかってきた。さらには──。
「肌を若々しく保つ美容効果も期待できるといわれています。いつも見た目が若々しい人は、オステオカルシンの働きが活発なのかもしれません」
オステオカルシンの産生は運動や食事が鍵となるので、次に紹介する項目をチェックしよう。
【血管・骨】運動は「ウォーキング」と「かかと落とし」を習慣にする
まず血管にいいとされる運動は全身運動だ。
「全身運動で血流が良くなると血管の内皮細胞が刺激されて一酸化窒素の効果で血管がしなやかに広がります。ウォーキングはその代表格。ぜひ習慣にして続けていきましょう」
目安としては1回15〜30分を週に2〜3回が目安。歩数にしたら4,000〜8,000歩ほどだ。
「歩き過ぎは逆に膝を痛めますので要注意です」
一方、骨を強くする運動で有名なのがかかと落とし。つま先立ちから、ストンとかかとを落とす。
「骨は適度な衝撃を受けると骨芽細胞の働きが促されます。かかと落としはその理屈を応用した運動。着地時に受けたかかとからの衝撃がオステオカルシンも活発化させ、骨形成を促すのです」
こちらは毎日50回を目安に行ってみよう。
「ウォーキングは足の接地時に衝撃があるので骨にもいいですし、かかと落としはふくらはぎの筋ポンプ作用を使うので血流も巡る。なので、両者は血管にも骨にもいいということになります」
【骨】カルシウム食品はビタミンDと一緒に摂る
骨にとっての何よりも必要な栄養素といえば? そう、答えは骨芽細胞と破骨細胞がせっせと出し入れをしていた、カルシウム。
「厳密には、骨はコラーゲンなどのたんぱく質を土台にリン酸カルシウムが沈着してできたものなのでカルシウムはもちろん必須です。が、その働きを助けるものとして他の栄養素も必要になります」
それは例えば、マグネシウム、亜鉛、ビタミンK、ビタミンAなどだが、中でも伊藤さんはビタミンDとセットで摂ることを推奨する。
「小腸でのカルシウムの吸収を高め、骨に定着させる働きがあるからです。サケや干し椎茸などビタミンDが豊富な食材と一緒に食べましょう」
ちなみにビタミンKは前述のオステオカルシンの働きを活性化させる栄養素。ひきわり納豆やパセリ、青じそ、モロヘイヤなどに豊富だ。
【血管】飽和脂肪酸の油をできるだけ控える
血管を健康に保つためには油にも気を配る必要がある。伊藤さんが注意を促すのは、飽和脂肪酸の油は摂りすぎに気をつけたい、ということ。
「飽和脂肪酸とは常温で固まりやすい性質のある油で、肉の脂身やラード、バターや生クリームなどに多く含まれます(上表参照)。摂りすぎると血中のLDLコレステロール値を上昇させるため、動脈硬化を進める一因となります」
心当たりがある人は気をつけたいが、対策としては油の置き換えを考えてみるといい。
「飽和脂肪酸を減らして、代わりに不飽和脂肪酸に置き換えてみるといいでしょう」
不飽和脂肪酸とは常温でも溶けやすい油で、魚などのEPA・DHA(オメガ3)、植物油に多いリノール酸(オメガ6)、オリーブ油のオレイン酸(オメガ9)、などが代表的だ。試してみよう。
【血管・骨】充分な睡眠を確保する
いつまでも若々しい骨と血管を維持するためには、充分な睡眠の確保も欠かせない。
「睡眠不足になると交感神経が優位になり、血圧が上がる傾向になりますので血管に良くない」
一方の骨にとっては、睡眠が不足すると――。
「眠れないとストレスホルモンのコルチゾールが分泌されることが知られていますが、これが実はカルシウムの代謝を悪化させます。骨のリモデリングは一日の中でも特に夜に行われますので、カルシウムの吸収が減少しないよう気をつけたい」
伊藤さんによると、閉経を迎えた女性はそもそもが女性ホルモン低下の原因により、寝つきの悪さを訴える人が多いのだそう。
「就寝前はなるべくスマホを見ないようにする、などのルールを取り入れながら、7〜8時間を目標に質の良い睡眠時間を確保しましょう」
【骨】1日15〜30分の日光浴を習慣にして、ビタミンD不足の生活から抜け出す
ビタミンDがカルシウムの吸収を助けるのは前述したとおりだが、食品からだけではない、日光浴により体内で合成させることも大切だ。
「皮膚の基底層にあるコレステロールは、日光の紫外線を浴びることでビタミンDに変わります。日本人女性の8〜9割はビタミンD不足といわれていますので、外の散歩や買い物などで意識的に太陽の光を浴びる時間を作るようにしてください」
日光浴の目安時間はトータルで、夏ならば15分、冬ならば30分だ。日当たりのいい室内で浴びたいという人は窓を開けることが大切だ。
「ガラス越しだと、残念ながら紫外線は遮られてしまいます。日差しの強い夏なら、日傘を差しても構いません。紫外線はシミのもとになると気になる人は、手や足などの一部だけは日焼け止めクリームを塗らずに外に出ることをおすすめします」
『クロワッサン』1175号より
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