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料理研究家、荻野恭子さんの、さまざまな料理に応用できる乳酸発酵漬けレシピ。

自然に恵まれた土地の豊かな野菜、あるいは世界で学んできた家庭料理、生活の知恵を凝縮した発酵食について語りました。
  • 撮影・青木和義、深澤慎平、邑口京一郎 写真協力・宝島社 構成と文・堀越和幸

ロシアで出合った乳酸発酵漬けは、さまざまな料理に応用が利きます。

荻野恭子さん

年間で65カ国を訪れ、現地の家庭料理を研究してきた荻野恭子さん。そんな荻野さんの実生活にも根付いている発酵食の一つが乳酸発酵漬けだ。

「塩水に野菜を漬けるだけという発酵食です。日本の漬物が“押し漬け”だとすれば、こちらは“浮かし漬け”。すごく簡単だから一年中やっています」

世界のお土産。トレーは、トルコのチャイ屋さんが出前で使う時の道具なのだそう。

出合いは1983年のソ連(現ロシア)だった。初めて訪れた現地で瓶詰めの水に浮くキャベツを目にした。気がつけば、それがどの家庭にもあった。

「要は保存食なんです。ロシアの人は多くがダーチャと呼ばれる菜園付きのセカンドハウスを持っていますが、それには食材の自給自足という側面が強い。短い夏をダーチャで過ごして野菜を収穫し、厳しい冬はそれを乳酸発酵させて、食べつなぐんです」

発酵系の基本調味料は手作りすることも多い。右から、豆麹を使った八丁味噌、豆板醤、米麹で作った味噌、そしてしょうゆ。自家製の味に慣れると元に戻れない。

ロシアの家庭はみんな食事の支度が早い!

この浮かし漬けをいろいろな料理に展開するのがロシア人の知恵だ。

「半完成形なので、あらゆる料理に応用が利きます。肉をコトコト煮て、そこに乳酸発酵したキャベツとビーツを入れたらもうボルシチですから」

右はキャベツの乳酸発酵漬け。キャベツ以外にもにんじん、トマト、玉ねぎなどを一緒に漬け込んで。左はきゅうりのピクルス。残った汁は煮物などにも使用。

半完成形だから、ロシアではどの家庭も食事の支度が早い。

「30分もしないうちに、7〜8品出てくることもあってびっくりします」

今回、荻野さんが紹介してくれたのは、きのこと大根の乳酸発酵漬けとそれぞれの展開料理。

「夏はこれらにヨーグルト料理も加わります。一年中、世界の発酵食をいただいているので、私は免疫力が高いはず、と勝手に信じ込んでいます(笑)」

冬になると登場の機会も増える酒粕を使ったペーストも併せて、荻野さん推奨の発酵食レシピ、ぜひお試しを。

まだある荻野家の発酵食。右から、ライ麦パンとライ麦天然酵母。隣のパン粉はパスタにかけたり。左はカマンベールチーズにくるみ、レーズンを混ぜたもの。

乳酸発酵漬けには水+塩。

水1カップに塩小さじ1と覚えよう。この比率が守られていれば、どんな保存瓶でも即対応。

\乳酸発酵漬けに出合った、 ロシアの旅の思い出。/

これが本家の"浮かし漬け"。さまざまな野菜がこの状態で、次なる展開を待機中。むろん、このままでもおいしい。

ダーチャの菜園。都心のアパートの窓辺で苗を育て、夏にはここに植え替えて一気に育てる、というのが基本形。

ダーチャ界隈にはさまざまな市場が立つ。こちらはウズベキスタンからやってきたメロン。瑞々しくて味がいい。

ダーチャは簡易的なログハウスといったものが多いなか、こちらは高級ダーチャ。門にはセキュリティ対策も。

荻野さんがロシアの乳酸菌発酵を初めて日本に紹介した記念すべき料理集。ロシア人の知人にも褒められたそう。

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