くらし

radikoを活用しつつ、割り切れない思いとは?│しまおまほ「マイリトルラジオ」

息子を保育園に送り終わった午前9時、園のすぐ近くにある大学図書館へ直行して原稿仕事をするのが日課となっている。大学に着くとまず校内のコンビニでお茶とパン、ヨーグルトを買い、イヤホンをつけ朝のラジオを聴きながら学生たちに紛れて図書館のロビーで腹ごしらえ。

聴いているのはその日午前6時半から放送されている情報番組「森本毅郎スタンバイ!」。radikoのタイムフリー機能を使っている。ラジオ好きの人たちにとっても、録音はハードルが高い。テレビ番組の録画は一般的だが、ラジオの録音となると〝マニア感″がプンプンに漂ってきてしまう……。

しかし、それはタイムフリーの登場で敷居がグッと下がった。

好きな時間に好きな番組を聴ける。1週間分の番組を遡って聴ける機能によってラジオの裾野が広がった。

最近、知人にラジオリスナーが増えたのだが〝出戻り″もかなり多い。一度ラジオを離れたけれど、アプリ機能が向上したことによってまた聴きだしたというのだ。ここでもタイムフリーがよく使われている。

リスナーとして共通の話題ができるのは嬉しいが「昨日の〇〇面白かったよね」と言って「あ、まだ聴いてない。明日聴くわ」などと返ってくると、なんだか拍子抜けしてしまうのも事実。ラジオは同じ時間を共有したい、という気持ちがどうしてもある。

しかし、今やオンタイムでラジオを聴く人のほうが“マニア”なのかもしれないのである。

しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。

『クロワッサン』987号より

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