『面倒くさい女たち』著者、河合 薫さんインタビュー。「男VS女ではなく、お互いにしなやかさを」 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
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『面倒くさい女たち』著者、河合 薫さんインタビュー。「男VS女ではなく、お互いにしなやかさを」

帯には「ババアの壁」の文字が。その実態と発生原因を探り、解決法を考える。男性にも女性にも読んでほしい。中央公論新社 840円

一見ぎょっとするタイトルだ。でも本書の内容は、日本の男社会で働く女たち(加えて、後述する「ジジイの壁」に閉口し、あがいている男たち)への応援歌といえる。同時に、無意識のうちに私たちに染みついている「ジェンダー・ステレオタイプ」への、鮮やかな問題提起の書でもある。

かわい・かおる●健康社会学者。国際線の客室乗務員を務めた後、気象予報士として『ニュースステーション』等に出演。その後、東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日本経済新聞出版社)ほか。

撮影・中島慶子 文・後藤真子

「男の人が感じる面倒くささの原因を、女の人にわかってほしい。面倒くさいと思われながらも頑張っている女の人たちには、そのままでいいけど、男の人たちの気持ちも少しわかってね、と。そういうしなやかさを持たないと、男VS女でいつまでも闘いが続いてしまいます。それではお互いに厳しくなるよ、というメッセージをこめて書きました」

と話す河合薫さんは、昨年上梓した『他人をバカにしたがる男たち』で、日本社会に根強く存在するジジイの壁の正体と、その弊害を看破した。ジジイとは、性別や年齢に関係なく、保身を優先し、既得権益にしがみつき、下とみなした相手には高圧的に接するような、ジジイ的な人のこと。

彼らは往々にして権力を持ち、自分たちに都合のよい壁を作って、企業や社会のイノベーションをはばんでいる。その指摘に、よくぞ言ってくれたと、胸のすく思いがした読者も多いだろう。

正しく知り、改めていきたい ジェンダー・ステレオタイプ。

「出版後“ジジイも面倒くさいけど、ババアも面倒くさいよ”といろいろな人に言われて。実は私も女性と一緒に仕事をすると、男性と違って面倒くさいなと感じる瞬間がありました。もちろん、自分もそう思われているだろう、と。そこで本書を書き始めたのです。これは私にはチャレンジでした」

なぜ、仕事の場で女は面倒くさいと思われてしまうのか? 本書において、河合さんは国内外のさまざまな研究・調査結果や、自身がインタビューした人たちの談話を根拠として引用し、その答えを論理的にあぶり出す。とりわけ印象的なのが、ジェンダー・ステレオタイプへの言及だ。私たちがごく自然に性差として認識している事柄の多くが、「2歳までに接した大人から刷り込まれたもの」と河合さん。女は地図を読めない、男は攻撃的という科学的な根拠はなく、男脳・女脳もないという。

「私の専門の健康社会学は、環境が人を作り、人も環境を変えられるという、社会との関連から個を見る学問です。ジェンダー・ステレオタイプも男性中心の社会から生まれたイメージです」

それが、科学的な事実とは異なるいわば虚像である以上、それを前提にした社会にはひずみが生じる。面倒くささの原因はそのあたりに潜んでいる。私たちにできるのは、まず知ること、少しずつでも認識を正していくことだ。

「女性がもっと活躍できる社会になれば変わるのでしょうが、壁は厚いですね。女性の面倒くささこそが男社会を変える力。実は、男たちも悩んでいるのですから」

『クロワッサン』984号より

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