今も捨てられずに押入れの中のお菓子の缶に眠っているものがある。それはお気に入りのラジオ番組を録音したカセットテープ。
バカルディのパックインミュージック、コサキン、米米CLUBの10分天国、TOKIO HOT100……。
テープにカビが生えていたり、伸びきってしまって再生不可能なものもあるが、どうしても捨てる気にはなれない。中学生だった自分が書いた番組名、日付のラベル。見るだけでどんな内容かだいたい頭の中で再生できる。押入れの中のカセットテープは、わたしにとっていわば“タイムマシーン”なのだ。
一番夢中になっていたコサキン(関根勤・小堺一機により28年間続いたラジオ番組)の放送は土曜日深夜0時から。当時14歳だったわたしは番組の始まる時間まで起きているのが至難の技だった。重い瞼をなんとか開いて、時報と共に枕元のラジカセの録音ボタンを押し、ラジカセに手をかけた格好そのまま、倒れるように就寝(余談だが、この頃「寝落ち」という言葉はなかった)。すると、リバース機能でA、B面たっぷり2時間分が録音されており、それを日曜の朝に聴くというわけだ。
次の日の日曜はコサキンを1日中ループ。中学時代の日曜日はほとんどコサキンに費やされたといっても過言ではない。ちなみに、コサキンの放送時間は1時間30分。録音時間が30分余る。と、いうことでわたしはコサキンのヘビーリスナーであると共に、不可抗力により「サンプラザ中野 今夜も熱帯夜」のリスナーになってしまったのであった。