私は二十五年程の落語家歴で二百八十種類ほどの噺を高座にかけました。しかしそのすべてを現在演じられるわけでもないのです。
(1)いつでもすぐ演じられる、ベースの持ちネタ(十〜二十席)
(2)現在マイブームで頻繁に演じ、ベースに加わる可能性のあるネタ(十席程)
(3)すぐには無理だが、一〜数日おさらいすればできるネタ(数十席)
(4)やってはみたものの自分に合わず“お蔵入り”のネタ(たくさん!)
こんな感じで分類され、(2)と(3)はわりと入れ替わりの頻度が高く、でも時として(4)からいきなり(2)になり(1)へ……。その落語を演じるのに絶好の日和は、いつ訪れるかわかりません。