この“人の字を書いて呑む”おまじない、「人を呑んでかかる」という、つまりあがらないようにというのはよく知られたところですが、入船亭扇遊師匠は、あるかたから「右利きの人は右の手の平に“人”の字を書く。つまり“利き手(聴き手)”を呑むんだよと教わったそうです。
そそかっしいことで楽屋では有名な当代・柳家さん助さんは手の平にせわしなく三べん書いた人の字に口を近づけると「フッ」と息を吐いて吹き飛ばしちゃったというすごい逸話の持ち主。まァそれくらい人を人とも思わなければ大丈夫ですよね。ちなみに私は……何もしません。もし忘れたら気になって落語日和どころじゃなくなっちゃうでしょ。