落語とはどんなものか? まずはご説明します。│柳家三三「きょうも落語日和」
はじめまして、柳家三三と申します。稼業は噺家、今号から皆さんに落語の“イロハ”から、ちょっと詳しいおかたには“ニホヘ”以上のことまでお話しさせていただきます。よろしくお付き合いくださいませ。
さて、読者の中で「落語」という言葉をご存知ないかたは少ないでしょうが、実際に聴いたことがない、どんなものかはよくわからないかたは大勢おいでかと思います。
「笑点」というお化けのようなテレビ番組のおかげもあって、それ以前のように地方で猟銃持った人が会場に乗り込んできて、よく聞いたら「ハナシカとカモシカを間違えた」なんて落語みたいな話はさすがにないようですけれど。
ただし、あの番組でやっている大勢での座布団をかけた言葉遊びも落語ではなく“大喜利”という余興です。落語を文章で定義するのは厄介なのですが、あえて言うなら
――着物を着て座布団に座った一人の演者によって、登場人物や筋の運びなど全てが語られた、落ちのある物語――
とでも申しましょうか。
こう書くと小難しいんですが、たとえば……
子どもA 「あたいの家に遊びにおいでよ」
子どもB 「いやだぃ、狭いんだもの」
子どもA 「広くなったよ、お父っつあんが箪笥売ったから」
いかがですか?
子どもたちの無邪気な会話が目に浮かんだあなたは「きょうも落語日和」です。
柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com
『クロワッサン』973号より
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