お客様約三百人は落語ファンと仏教に関心のあるかた、半々くらいという割合でした。私は高座でお客様にアンケートをとらせていただいたのです。
(1)「寿限無」という噺を知っていますか。
(2)落語家が演じる「寿限無」を生で聴いたことがありますか。
以上の質問に“イエス”だったのは(1)ではほぼ全員、ところが(2)では二割にも満たなかったんです。
その理由は簡単、落語家が高座で演じる回数が少ないから。少ない理由もこれまた明快で、
「ウケないんだヨ」。
ですから寄席で「寿限無」を聴けたら、けっこうラッキーな「落語日和」。でもウケないとか、他愛のない前座噺だと軽く扱われがちなこの噺、そんな先入観を捨ててよーく聴くと思いのほか、面白いんです。