そもそも、黒酢の定義とは何であり、他の酢とは何が違うのか。黒酢の魅力にふれる前に、まずは基本を知っておきたい。農林水産省のJAS規格によると、現在、食酢のほとんどは「穀類や果実、野菜などの原料を酢酸発酵させて製造した醸造酢と呼ばれるもの」のことを言う。主な原料として穀物と果実の2種類があり、穀物酢は米や大麦などの穀物を使用したもの。黒酢は穀物酢に属し、発酵・熟成の過程で褐色または黒褐色になったものを言う。しかも褐色なら何でもいいわけではなく、JAS規格で酸度、全窒素分、着色度の基準が定められており、“黒酢”になるのは狭き門だ。
「かめ壺の中で起こる蛋白糖化反応“アミノカルボニル反応”によって液体が褐色や黒褐色になります。発酵がなぜ壺の中で自然に進むのかは、まだはっきりとはわからないところが多い。大学などと共同で研究を進めている企業も増えています」(坂元淳二さん)