「私は、料理人として、社会に対し自分が貢献できることをやっていければいいと思ったんです」
当時、料理界で話題になっていたのは南米ペルーの料理だった。
「調べてみると、トマトの原種はアンデスにあったり、様々な果実、野菜の起源がペルーにある。これは食材のルーツを探す旅にもなる。それに、ペルーには料理で国を動かすと言われる料理人ガストン・アクリオがいて、その店で働きたいという気持ちもありました」
巨大な魚や様々な種類の唐辛子、濃厚な味の鶏の原種などアマゾンの食材と身近に触れ、アマゾンへの思いが膨らんだ太田さんは、一時帰国を挟みながら現地を何度も旅し、食、生きることの本質を身をもって感じ、考えた。
「3回目かな、カカオ村を訪ねて無農薬のカカオを食べたらすごく美味しくて。でも村は貧しく、明るい展望もないような状況で」
しかし、長老や工場長と話すうち、問題点も見えてきた。「村を頼む」と伝えられたのもこの時だ。