荻原 2016年に年収1200万円以上の家庭の控除額が減りました。2020年からは850万円以上の控除額が見直されます。増税の対象がどんどん広くなってきていますね。
山崎 稼いでいる人は稼いでいるなりの生活、稼いでいないならば稼いでいないなりの生活をするしかないですよ。
荻原 お金のほうに、生活を合わせる。
山崎 はい。身の丈に合った暮らしをする。FP(ファイナンシャルプランナー)が「65歳で3000万円ないと老後が苦しい」とか言いますよね。あれはあくまでもアンケートに基づいた平均値にすぎない。自分はいくら必要なのか。現実的な計算をするべきです。
荻原 老後に必要なのは介護と医療。介護費は、あくまでも平均ですが、550万円くらい。そこに、病気になったときのための100万〜200万円があれば足りる計算です。医療費は、健康保険加入者なら、国の高額療養費制度が利用できます。100万円の治療を受けても、10万円以下ですむはず。新しいお墓とか夫婦で旅行とか言いだすと、きりがありません。ほかに大切なのは、定年までに住宅ローンは返済しておくことです。退職時にローンがあると、年金生活では返済は難しい。30年ローンを組んだばかりだとして、ボーナスで100万円繰り上げ返済したら、利息分も減って150万円くらい返したことになる。100万円が150万円になる金融商品なんてありませんから、繰り上げ返済は得なんです。
山崎 確かに、運用できるお金があるならば、繰り上げ返済のほうがはるかに得です。