くらし

危ないのは老後よりも「いま」? 損をしないお金の活かし方。

自己破産の件数の半分は40代、50代だといいます。手持ちのお金はどこに置いて、どう扱うべきなのか。やってはいけないことは?
  • 撮影・岩本慶三 文・神舘和典

アベノミクスの成果が一向に実感できないなか、明けた2018年。貯金、投資、保険、ローン、住宅購入……など、生活に必要なお金のこと全般について、プロの2人に徹底して現実的に、率直にアドバイスしてもらいます。 

山崎元さん(以下、山崎)アベノミクスには批判も多いけれど、やらないよりはましだったと、私は思っています。金融緩和したほうがよかったし、デフレではなくなった。0.5%とはいえ、消費者物価指数は上昇しましたから。

荻原博子さん(以下、荻原) でも、目標値は2年で2%でした。5年経ってもまだ目途が立っていないわけだから、アベノミクスは失敗ですよ。

山崎 経済的な強者と弱者は恩恵を受けています。土地や株を持つ人はより潤った。アルバイトの賃金と有効求人倍率は上がった。ただ、その間の多くの勤労者の所得は実質的に下がっています。賃金のアップよりも、税金、年金、保険料の支払いが大きい。2014年の消費税増税が失敗でしたね。

荻原 支出が増える不安で、消費税が上がってからは特に、高齢者層がお金を使わなくなってしまいました。

山崎 寿命は10年ごとに約2年延びている。年金は支給額を落としながら調整する方向。確かに老後のお金が足りなくなる不安は大きい。40代、50代の家庭も、子どもの教育費があると老後のお金まで貯められません。

荻原 子どもを大学に通わせると、国立文系でも4年間で500万〜600万円かかります。私立や理系や芸術系だともっと必要。子どもが2人いたら倍です。今、自己破産が一番多いのが40代。次が50代。教育費と住宅ローンがダブルできてきついんです。

山崎 奨学金制度をもっと利用しては。学生のアルバイト時給1000円程度に対し、大学でしっかり勉強して優良企業に入ると、年収500万円で時給2500円程度の計算になります。経済の側面だけでいえば、奨学金はリターンが計算できる質のいい借金です。

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