政府が掲げる「同居・近居促進政策」を背景に、国と自治体が親世帯と子ども世帯が近くに住む「近居」の支援を拡充している。国土交通省によると、「近居」とは「住所は異なるものの、日常的な往来ができる範囲に居住すること」を指す。いわゆる“スープの冷めない距離”に住むことをイメージするとよさそうだ。
例えば、神戸市では3世代同居のための引っ越しに対して助成金を支払う。石川県には住み替えのための住居の新築や、リフォームなどを援助する助成金制度がある。それぞれの自治体により助成内容は異なるが、住宅の購入に充てるための助成金から引っ越し支援金、地域で利用できるポイント付与など内容が多岐にわたる。
一方、UR都市機構では、子育て世帯や高齢者世帯などと、それを支援する親族の2世帯が対象のUR賃貸同士で近居を始めた場合、両世帯の家賃を割引く「近居割」を実施。近居であれば、一方の住宅の種類は問わず、新しくUR賃貸住宅に入居する世帯の家賃を割引く「近居割ワイド」もある。
世帯所得が月々25万9000円以下など収入制限はあるものの、条件を満たせば5年間、家賃から最大20%引きと、大きな経済的メリットとなる。
「親世代あるいは子ども世代の近くに転居を検討している人であれば、対象になる可能性が高いので見逃さないようにしましょう。引っ越し先の最寄りの市区町村役場に問い合わせを」(風呂内さん)