寛一郎さんが語る、ドラマ『クロスロード~救命救急の約束~』──自分の中ではできるだけ嘘をつきたくないんです
撮影・天日恵美子 スタイリング・喜多尾祥之 ヘア&メイク・新宮利彦 文・黒瀬朋子
阪本順治さんや河瀨直美さん、山中瑶子さんら国内外で高い評価を受けている監督の映画に多数出演している寛一郎さん。最近では連続テレビ小説『ばけばけ』の銀二郎役で幅広い層の心を掴んだ。現在放送中のドラマ『クロスロード~救命救急の約束~』で、救急救命士の渋川役を演じている。格差や孤立など社会問題を背景に、救命医、救急隊員、警察官の若者たちが懸命に奔走する青春医療ドラマである。
「渋川の『命を救いたい』という思いは、ただの正義感だけではなくて。なぜ救急隊に入ったのかも、次第に明らかになっていきます」
撮影前には消防署を訪れ、隊員の皆さんの話を聞き、大変さを痛感した。
「覚えなければいけない作業や知識が大量にある上に、実際の現場は学んだとおりにならなくて、臨機応変に対処するアドリブ力が問われるのだそうです。隊員の方がドラマを観ても違和感のないようにと思いながら演じていました」
救急隊員という仕事の凄さや魅力を感じてもらえたらうれしいと語る。
「幼い頃から映画やドラマを観てきて、社会のことや違う文化、人の心の動きなど、作品を通して知らなかったことを知ることができました。僕も(作り手側になり)、何かしら観てくださる方に還元できたらと思っています」
どの役を演じるときも「自分の中ではできるだけ嘘をつきたくない」。物語の進行上、リアルだけを追求できないこともあるが、譲れることと譲れないことを明確にし、困ったときには衣装やメイク、照明など他部署に助けてもらいながらリアルな人物を立ち上がらせたいと考えている。19歳でデビューし、8月に30歳になった。この10年の自身の変化を問うと、少し照れながら「だいぶ変わったと思います」と笑った。
「大人になったと思います(笑)。昔はもっととっつきにくい人でした。自信のなさと不安から壁を作っていたんです」
父(佐藤浩市)も祖父(三國連太郎)も名優。俳優になることを周囲に期待され反発していた時期を経て、「俳優になりたい」と自覚したのが17、18歳。そこから映画を集中して見始め、邦画で最も感銘を受けたのが相米慎二監督の作品だった。多くの映画人に影響を与えた、25年前に急逝した名監督だ。
「実は僕、相米監督の『風花』に出ているんです。冒頭、小泉今日子さん演じるヒロインがジャングルジムで遊ぶ母子を眺めるのですが、その子どもが僕。3、4歳で当時の記憶は全くないですけど、相米さんの映画に出ているというのは、自慢にしています(笑)」
映画の申し子になるのは当然のようなエピソード。映画でもドラマでも現場にいられるときに一番喜びを感じると語るその笑顔はとびきり輝いていた。
『クロワッサン』1172号より
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