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京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に

予約した和菓子を楽しみに、わざわざ足を運ぶのも、老舗が多い街ならでは。暖簾をくぐり、店の設えを知れば、味わいがもうひとつ深くなる。

撮影・西岡 潔 文・齋藤優子

暖簾をくぐって受け取りたい。 手間のかかった和菓子。

祇園四条|京菓子司 柏屋光貞(かしわやみつさだ)「おゝきに」

京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に

半透明の淡い色が美しい、はかない食感のすり琥珀。 

節分の〈法螺貝(ほらがい)餅〉と祇園祭・宵山の〈行者(ぎょうじゃ)餅〉。1年で1日のみの厄除け菓子を作り続ける1806年創業の老舗に、15年ほど前に登場した半生菓子。11代目が、気軽につまめるひと口大の菓子をと思いつき、関西弁で〝ありがとう〞と菓銘をつけた。寒天と砂糖を合わせた透明な琥珀の中に、空気を抱き込んだすり蜜を合わせて作るすり琥珀と呼ばれるもので、半透明に仕上げるのがことのほか難しいという。表面は薄くシャリッと、中はツルンとした、はかない食感が醍醐味である。正方の箱に、四畳半の茶室のように並ぶ4色は、〝四神相応(しじんそうおう)の地〞として作られたとされる京の街を表し、白はプレーン、ピンクは梅、緑は柚子、茶は黒糖風味。春には桜花や蝶を象った干菓子がのる。

京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に
すり琥珀49個、干菓子入り 1,435円。3日前までに要予約。賞味期限は5日
すり琥珀49個、干菓子入り 1,435円。3日前までに要予約。賞味期限は5日

◆京都市東山区安井毘沙門町33・2 
TEL.075・561・2263 
営業時間:10時〜売り切れ次第閉店 日曜、祝日休(節分、祇園祭の宵山は営業)

烏丸御池|御菓子所 亀末廣(かめすえひろ)「一休寺」

18枚入り2,300円。5枚袋入り600円も。予約が確実。賞味期限は12日
18枚入り2,300円。5枚袋入り600円も。予約が確実。賞味期限は12日

一休寺製の納豆を置いた玄米粉入りの押し落雁。 

亀と屋号が染め抜かれた暖簾がかかる、古色を帯びた店構えが京都の風格を感じる1軒だ。代表銘菓〈京のよすが〉をはじめ、1804年の創業以来、折々に作られてきた菓子が店先に並ぶ。杉箱に整然と並んだ、侘びた意匠が目を引く干菓子は6代目が呉服商に頼まれ、展示会のおもたせとして考案したところ評判となり、定番になった。煎った玄米粉をもち粉に混ぜて作った押し落雁で、真ん中にポツンとあるのは、一休寺納豆。6代目が住職と親交があったのか、酬恩庵・一休寺の住職が一休禅師の製法を受け継ぎ、寺の一角で作り続けている納豆を使い、寺の名を菓銘とした。玄米粉のザクザクとした食感の落雁から、独特の強い風味と塩気がのぞく、唯一無二の味わいだ。

京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に
京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に

◆京都市中京区車屋町251
TEL.075・221・5110 
営業時間:9時〜17時 水・日曜、祝日休

丸太町|すはま屋「洲濱」

1本1,000円。2日前までに要予約。賞味期限は6日。「春日の豆」という丸型のすはまは予約不要
1本1,000円。2日前までに要予約。賞味期限は6日。「春日の豆」という丸型のすはまは予約不要

14代続いた専門店から受け継いだ京銘菓。

浅煎りの大豆粉と砂糖を水飴で練り、洲浜形に象った洲濱。これを14代にわたって作り続けた『御洲濱司 植村義次』が閉業したのは2016年のこと。『すはま屋』店主の芳野綾子さんは当時、毎年実家の初釜で出されていたこの菓子が忘れられず、14代目に教えを請う。始めてみれば、大豆粉の焙煎具合など想像以上に難しく、作っては試食してもらい、を繰り返し、同じ場所で伝統の味を復活させた。きなこに近い濃厚な風味は、コーヒーにもよく合う。

京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に
京都の店を訪れなければ手に入らない、知る人ぞ知る和菓子を手土産に

◆京都市中京区常真横町193 
TEL.075・744・0593 
営業時間:10時〜17時30分(喫茶12時〜17時LO) 日曜、祝日、第2・4水曜休(喫茶は水・日曜、祝日休)

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