くらし

【ワインビストロ&イタリアン編】食通たちが通い続ける、美味しい京都の名店。

京都の食は、和食に限らずハイレベル。
うまいもんを知り尽くしたあの人たちが、旅の夜を口福にしてくれる店を教えてくれた。
  • 撮影・福森クニヒロ、吉村規子(le 14e) 文・齋藤優子 地図製作・竹中聡司

le 14e(ル  キャトーズィエム)

肉料理が絶品の使い勝手のいいワインビストロ。(料理編集者のツレヅレハナコさん)

ナチュラルワインに魅せられて渡ったフランスで、とあるビストロの牛肉料理に感動。気づけば、牛肉にどっぷりとのめり込み、いまや京都にとどまらない肉料理の名手として知られる茂野眞さんが営む小さなワインビストロ。

十勝産豊西牛 ホルスタイン ランプ肉のステーキ2,800円。
ブラータとフレッシュトマト2,500円。ちらした紫蘇がいい。

はずせないのは、やはり、その日の肉をドンピシャの焼き加減で仕上げるステーキ。茂野さんが最近惚れ込んでいるのが、北海道十勝で育ったホルスタイン種の豊西牛。

牛スネ肉のカリカリ焼1,800円。ベネトの赤グラス900円。

油を繰り返しかけながら外はごく薄くカリカリに、中はレアに近い小豆色に仕上げた豊西牛は、食べ進むほどにじんわり味わいが増していく。赤のナチュラルワインがゴクゴク進むおいしさだ。

●le 14e

京都市上京区伊勢屋町393・3 ポガンビル2F
TEL.075・231・7009 
営業時間:18時~23時(土曜・祝日17時~) 水・日曜休

DUPREE(デュプリー)

食いしん坊の胃袋をがっちり掴む料理揃い。(エッセイストの仁平綾さん)

内装を大胆にリノベーションした琵琶湖疎水に面した日本家屋は、京都のナチュラルワインの第一人者、江上昌伸さんが構えたレストラン。

ナチュラルワインがそうであるように、料理も地元の季節の食材を使い、余計な調味料を潔いほど削ぎ落とした素材重視。

琵琶マスと万願寺の炭火焼2,200円。ワインはグラス1,100円~。
コイと千両ナスの炭火焼1,650円。コイはあらのダシにさっとくぐらせてある。

野菜は丹波篠山や大原の農家から。紅はるかのスープは、ブイヨンは使わず、ほぼ紅はるかだけで作っていて、蒸し焼きにして引き出した甘みがひとしお。

紅はるかのスープ880円は、真ん中に炭火で焼いた紅はるかと黒ゴマ。

嵯峨野のコイと千両ナスの炭火焼きのひと皿も、コイやマスのあらでとったダシを活かし、すっきりとした仕上げ。豊富に揃う江上さんセレクトのナチュラルワインと引き合う。

●DUPREE

京都市左京区岡崎西天王町68・1
TEL.075・746・7777
営業時間:17時30分~22時LO(土・日曜のみランチ12時〜13時30分LOあり) 月、第1・3火曜休 
http://www.dupree.jp/

Ristorante dei CACCIATORI(リストランテ  デイ  カッチャトーリ)

丁寧で清潔感のある料理。楽しみに通っています。(料理研究家のホルトハウス房子さん)

ピエモンテの郷土料理を食べに京都に行こう。そう思わせてくれるリストランテだ。

タヤリン ポルチーニ茸のソース。すべて夜1万2000円のコースから。
羊の肩肉のオーブン焼き ジャガイモのロースト添え。大人数の時は大皿でサーブ。

オーナーシェフ永田匡人さんは、一本のヴィネガーに惚れ込み、その造り手である、ピエモンテの『リストランテ・ダ・チェーザレ』へ。イタリア滞在8年のうち、5年間をこの店で過ごし、帰国。

焼きたてがやってくるリンゴのスフォリアティーナ。きれいに浮いた生地が見事。

京都で自店を構えてから15年たったいまも、「チェーザレ」の料理をアレンジせず、大切に大切に作り続けている。

卵黄を贅沢に使った手打ちタヤリンのポルチーニ茸ソースも、ピレネー産の乳飲みの仔羊で作るオーブン焼きも、しみじみ旨い。リンゴのスフォリアティーナは、チェーザレのシェフのマンマの味だそう。

●Ristorante dei CACCIATORI

京都市東山区大和大路四条上ル常盤町158・2 紅屋ビル1F 
TEL.075・551・7457 
営業時間:12時~14時、18時~24時 月曜休(祝日の場合は翌火曜休)
昼夜とも要予約。
http://cacciatori.ciao.jp/

OSTERIA IL CANTO DEL MAGGIO(オステリア  イル・カント・デル・マッジョ)

豪快なトスカーナ料理を楽しむならここ。(料理研究家の松田美智子さん)

店名は、オーナーシェフである田村崇さんの修業先から。トスカーナのオーベルジュ『イル・カント・デル・マッジョ』で、じっくり10年間、食材や料理に向き合ってきた田村さんが構えた直球勝負のトスカーナ料理店。

シンプルな調理法で豪快に仕上げる、かの地の代表格ともいえるビステッカが、ここ京都の店でも看板だ。

骨つきビステッカ。オーダーは1kgからで100g 1,800円。付け合わせのルッコラのサラダ800円。
修業先の看板料理だったという、手打ちのパッパルデッレ 鴨のスーゴ1,900円。

「肉にしっかり味がある」と、ホルスタイン種の経産牛をセレクト。表面だけ強火で一気に焼き上げた背肉の塊は迫力満点。ナイフを入れれば、中はベリーレア。パッパルデッレに絡む鴨のソースは旨みが濃厚で、ワインが進む味。アラカルトで肉料理攻めしたくなる。

●OSTERIA IL CANTO DEL MAGGIO

京都市中京区堺町通蛸薬師下ル菊屋町512・2 
TEL.075・211・7768
営業時間:18時~22時 水・木曜休
Instagram:#オステリアイルカントデルマッジョ

【MAP】

ツレヅレハナコ さん

料理編集者、文筆家

食と酒と旅を愛し、関連著書多数。近年は調理器具のプロデュースも行う。

仁平 綾 さん (にへい・あや)

エッセイスト

9年過ごしたNYを離れ、昨年、憧れの京都に移住。

ホルトハウス房子 さん (ホルトハウス・ふさこ)

料理研究家

鎌倉の自宅で行う西洋料理教室は約50年続く。

松田美智子 さん (まつだ・みちこ)

料理研究家

本誌「くらしの歳時記」ほか、雑誌連載や著書多数。

『クロワッサン』1077号より

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