くらし

【和食編】食通たちが通い続ける、美味しい京都の名店。

京都の食は、和食に限らずハイレベル。
うまいもんを知り尽くしたあの人たちが、旅の夜を口福にしてくれる店を教えてくれた。
  • 撮影・福森クニヒロ 文・齋藤優子 地図製作・竹中聡司

月村(つきむら)

一人の夜は、1人前で炊く変わらぬ味の釜飯を。(料理研究家の松田美智子さん)

四条河原町に程近い狭い路地に、〝釜めし 月村〟の看板をひっそりと掲げる、昭和の面影を色濃く残す料理屋。

釜めし とり2,200円。ほかに、えび、かき、ミックスがある。
昔ながらのしゅうまい950円。玉ネギの甘みが効いてふわふわ。

戦後間もなく店を構えた創業者が〝何か新しい料理を看板に〟と始めたのが1人前ずつ炊く釜飯で、いまも3代目の主人がその味を守り続けている。

あっさりと、やわらかく仕上げた定番の、鴨ロース1,890円。

注文が入ってから、特注の釜を火にかけること20分。ほんのり甘い煮汁を吸ったご飯は、やわらかすぎず、硬すぎず、粘りけを程よく残す絶妙な炊き加減。木じゃくしで、そのまま楽しむのがここならではの流儀。

創業から続くシュウマイをはじめ、一品料理も豊富に揃うので、炊きあがりを待つひとときも、おいしい時間だ。

●月村

京都市下京区西木屋町四条下ル船頭町198
TEL.075・351・5306
営業時間:17時~21時 月曜休、ほか不定休あり
予約不可

りょうりや 御旅屋(おたや)

アラカルトで注文できる、いまどき貴重な割烹。(「飯尾醸造」5代目当主 飯尾彰浩さん)

訪れる道すがらにも京都らしい風情が感じられる、高瀬川のほとりに佇む割烹。

「自分が通いたい店を作りました」と、割烹や料亭で修業を積んだ後、11年前に店を構えた御旅屋秀一朗さん。

すっぽんの蒸しスープ1,450円は、スープが抜群に旨い。
飯尾醸造の紅芋酢と二条城の梅で作った紅芋果実酢ソーダ700円。サバのきずし1,100円。

一品料理は、どれも手ごろな価格ながら、ていねいな仕事と工夫が光る。京都らしさに縛られないうまいもんで、地元客が多いのも頷ける。

とうもろこしのかきあげ1,000円。2種を薄衣で揚げている。

看板料理のすっぽんの蒸しスープは、旨みがありながらも、すっきり。フレンチから発想したという20品目野菜のサラダは、味変用のへしこソースで一気に酒の肴になる。

奥におくどさん(かまど)が見えるカウンターの景色も、料理をもうひとつおいしくしてくれる。

●りょうりや 御旅屋

京都市下京区西木屋町通高辻角天満町456・2 
TEL.075・343・1513 
営業時間:12時~14時(予約のみ)、17時~22時 月曜休、ほか月2回不定休あり https://otaya-kyoto.com/ 
Facebook:りょうりや 御旅屋

神馬(しんめ)

すべてが味わい深い、京都で最も古い居酒屋。(「みんげい おくむら主人」奥村忍さん)

千本通り沿いで目を引く縄のれんと赤ちょうちん。居酒屋好きなら素通りできない風格を放つ、昭和9年創業の老舗だ。

3代目は魚の目利きも確かで、造りも旨い。鯖きずし1,200円。
コンベクションオーブンで仕上げる、黒毛和牛のイチボを使った自家製ローストビーフ1,650円。

奥に伸びるコの字のカウンターの中で、甕から柄杓で注ぎ、銅製の酒燗器でつけてくれるのは、灘の6銘柄をブレンドした燗酒。創業から続くオリジナルだ。

ハモダシと大根おろしでふわっと仕上げたはものみぞれ煮1,210円。

料理は、研究熱心な3代目、酒谷直孝さんが2代目のころからアップデート。

割烹仕込みのハモのみぞれ煮から、居酒屋のレベルを超えていると評判のローストビーフ、低温調理した黒豚とんかつまで、品書きにぎっしりと並ぶ。

歳月が沁みた店内で、地元客も観光客もお一人様も、思い思いに杯を傾ける風景もいい。

●神馬

京都市上京区千本通中立売上ル玉屋町38
TEL.075・461・3635 
営業時間:17時~21時30分 日曜休
https://www.shinme-kyoto.jp/

【MAP】

松田美智子 さん (まつだ・みちこ)

料理研究家

本誌「くらしの歳時記」ほか、雑誌連載や著書多数。

飯尾彰浩 さん (いいお・あきひろ)

「飯尾醸造」5代目当主

無農薬米を栽培して酢造り。料理人からの信頼も厚い。

奥村 忍 さん (おくむら・しのぶ)

「みんげい おくむら」主人

民藝・手仕事による生活道具のセレクトショップを営む。

『クロワッサン』1077号より

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