丁寧な仕事ぶりで知られる人気の校正者、牟田都子さんの手みやげは、住んでいる東京・吉祥寺近辺の店から選ぶことが多い。中でも気心が知れた人に渡しているのが、日本酒と創作料理の店『にほん酒や』の「なっとうオイル」だ。
「10年くらい前、近所の家具屋さんで紹介されたお店です。何を食べてもおいしくて、日本酒って普段のお料理に合わせてもこんなに楽しめるんだと教えてもらいました。『なっとうオイル』は、和と洋の素材を融合するのが上手な店主の高谷謙一さんに『何にかけても合うよ』と勧められ、高谷さんが言うなら間違いないと求めたもの。見事にはまってしまい、以来、切らさないように自宅に常備、手みやげにする時は『だまされたと思って試してみて』と言って渡しています」
「なっとうオイル」は、素揚げした納豆に、カピという小海老の発酵調味料、青森県産のニンニク、奈良県の片上醤油など、高谷さんが厳選した素材を加えたオリジナルの調味料だ。納豆臭さはほとんどなく、独特のネバネバ感もない。
「うちではホカホカに蒸した木綿豆腐をご飯にのっけたお豆腐丼によく使います。納豆のぎゅっとした旨味が加わって、醤油や塩だけですごく満足感があるんです」
吉祥寺に住んで15年。カフェやギャラリーが多く、歩くだけで気分転換になる。
「校正って一人でする仕事だから、お店をのぞいて知っている人と一言話せるだけでほっとします。吉祥寺は個人店もまだ多くて、お店の人たち同士の結びつきが強いんです。私が居心地よいと感じてよく行く店は、ほとんど『にほん酒や』さんのように近所のお店や住んでいる人に教えてもらったところ。家の目の前が井の頭公園なので、ここに引っ越した翌年からランニングも始めました。最近はご当地マラソンに参加していて、いつか47都道府県すべてを走れたらいいですね」