ナンシー八須さんは、約30年前に米国・カリフォルニアから来日。その後、埼玉で農業を営む男性と結婚。「農家の嫁」として日本の食文化の魅力に目覚め、地元のみならず全国各地の伝統的な料理を伝える活動を続けている。
「日本は地方ごとに特徴のある調味料があり、それが料理を美味しくする食材になっていると思います。私はそのなかでも本当に良質のものを多くの人に試してほしいんです」
今回紹介してくれた『和田萬』の有機ごま油も、手みやげはもちろん、自身も日頃から愛用する調味料。大阪にある創業130年以上の老舗ごまメーカーで、高級品種の有機ごまだけを使い、圧搾一番搾りといううまみがいちばん残る方法で丁寧に作られている。
「2年前にサンフランシスコで開催された食品見本市で、このごま油を知りました。とにかく香りがすばらしく、どんな料理にも少しかけるだけで、味が引き立つ。日本に戻ってからは『和田萬』の工場を訪ねて、ごまの選別から焙煎や濾過など数多くの工程を経て作られる模様も見せてもらいました。どの作業にも日本人ならではの手仕事がまだ残っていることにも感激しました」
自宅に友人を招いた時には、地元で穫れた旬の野菜に白ごま油をさっとふったサラダを食べてもらった後に、手みやげとして渡したり、国内外の料理人と会う時には黒と白のごま油を持参するようにしている。
「ニューヨークでレストランを営むシェフにも “これが世界一のごまから作ったオイルです” と言って渡しました。シェフも興味をもってくれたのか、デザートで出すチョコレートケーキの生地に黒ごま油を隠し味で入れて作ってくれたんです。私がこれまで食べたなかでいちばんおいしいケーキになりました(笑)」