くらし

高齢者向け分譲マンションに引っ越して手に入れた、新たな友人と、日々の楽しみ。

「終活」というと、暗くて重いイメージがありますが、これからの人生と向き合い、楽しみながら進め、充実した日々を送っている人の方法を紹介。
  • 撮影・三東サイ 文・辻さゆり

人生初の引っ越しで手に入れた新たな友人と、日々の楽しみ。

公園と富士山を見晴らすリビングダイニング。後ろの食器棚2つは赤坂から運び、骨董などの器を収納。テーブルは伸縮可能なものを新たに購入した。

真藤眞榮さんが赤坂の家で母親を看取り、横浜郊外のサービス付きの高齢者向け分譲マンションに移り住んだのは、70歳を迎える年のこと。

「小さい頃から知っていた、ここに住んでいたおばあさまが亡くなったと聞いて、老後の参考にと見学させてもらったんです。そしたら設備も整っていて、窓からは富士山も見える。ここ、いいじゃない!って」

とはいえ、2歳の時から住み続けてきた赤坂の自宅は200平方メートル以上。そこから60平方メートル足らずの部屋に移り住むことになったのだ。運び込んだ荷物は、全体の10分の1くらい?

「もっとです! これだけは譲れないというものを選ぶのが大変でした」

建物内に病院や食堂もあり、常駐するスタッフには何でも相談できる。これまで何でも自分でやらなくてはならなかった真藤さんにとって、その安心感は「何ものにもかえがたいもの」だ。一方で増えたのが日々の楽しみ。卓球やヨガを再開し、チェス、太極拳に初挑戦。特に熱中しているのがビリヤードだ。

「70歳を過ぎてからこんなに夢中になるものが見つかるとは思いませんでした。新しい友だちも増えて、毎日がとても充実しています」

サークルや習い事に夢中。新しい友人との出会いも。

真藤さんの日々の楽しみはマンション内のサークル活動。ヨガのほか、中学生の時にやっていた卓球を再開。チェスはここに来てから覚えた。そのほか、月1で自由が丘に通い、ダーニング(ヨーロッパの伝統的な繕い方法)の習い事も。

引っ越しを機にものを処分し、お気に入りのものだけに。

唯一新たに買った収納家具であるユニット型の棚は「ニトリ」。赤坂の家の膨大なものの中から選び抜いたお気に入りを置いている。部屋のアンティーク家具と馴染み、骨董や古い写真を並べても違和感がないレイアウトはさすが!

運動を兼ねて、公園の散歩も日課に。

駅まで往復約3000歩。その間にある公園は格好の散歩コース。「この場所で小さな子ガモを見つけて、ここに住むのもいいかなと思ったのがそもそもの始まり。自然豊かな環境を楽しもうと、運動を兼ねて歩くようになりました」
真藤眞榮

真藤眞榮 さん (しんどう・まさえ)

1949年生まれ。シングルマザーとして60歳まで勤め、母を看取った後に高齢者向けマンションに転居。娘の真藤舞衣子さんは料理家。

『クロワッサン』1099号より

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