くらし

「老後の資金計画」で不安一掃。無理なく暮らす今が楽しい。

「終活」というと、暗くて重いイメージがありますが、これからの人生と向き合い、楽しみながら進め、充実した日々を送っている人の方法を紹介。
  • 撮影・黒川ひろみ 文・嶌 陽子
庭の一角に作った畑でネギやトマト、とうもろこしなどさまざまな野菜を育てるのが楽しみの一つ。「イチジクやレモンなどの果樹も植えています」

「これが1カ月で使う金額の目安です」と井手しのぶさんが見せてくれたのは、スマホの家計簿アプリ。食費や日用品代、ジム代、美容代など、項目ごとに細かく分かれている。これを作ったのは50代前半の時だった。

「経営していた会社を人に譲り、現在暮らす鎌倉に引っ越す前に、それまでどんぶり勘定だったお金と真剣に向き合うことに。90歳まで一人で暮らすとして、持っている資産を元に1カ月どれくらいで暮らせばいいかを逆算しました」

自分でつくることで日用品や食費を抑える一方、好きなお酒や外食にはしっかりお金を使うなど、メリハリをつけているのが特徴。また「医療費を抑えるためにも健康でいることが大事」と考え、ジム通いのほかに愛犬の小太郎と一緒に毎日3㎞歩くといった習慣も続けている。

「心身が元気なうちにお金について考えたおかげで、気持ちにゆとりができました。何もしていなかったら漠然とした不安を抱えて必要以上に貯金をしたり、もっと仕事をしなくてはと焦っていたかも。一度しっかり悩んで考え抜いたから、今、毎日を無理なく、楽しく過ごせているのだと思います」

自分に何かあった時のために一人息子に渡せるよう、資産や保険のことをまとめたノート。

生活費の予算項目

水道光熱費 15,000円
通信費   8,000円
保険    8,000円
食費    35,000円
酒代    10,000円
外食代   30,000円
日用品代  10,000円
被服費   10,000円
ジム代   10,000円
美容代   15,000円
交際費   10,000円
医療費   5,000円
ペット代  10,000円

※酒や外食には多めの予算。同じ敷地内に暮らす息子の食事をつくることも。日用品代は抑えめに。

畑で野菜をつくり、大好きなお酒代は確保。

畑で育てている野菜を日々の食卓に取り入れているため、食費は前より減った。その分、好きなお酒にはしっかりお金をかけられる。「自分で漬けたレモン酒や梅酒を飲むこともあります」

食器やクロス類は手作り&修繕。

「手を動かすのは好きなので」、欠けた器も金継ぎをして使い続ける。「キッチンクロスなども、使い古しのシーツなどを使って手づくりしています」。おかげで日用品代は控えめの金額に。

スタイルを定番化し、少数精鋭に。

ここ最近はシャツにパンツ、もしくはワンピースというスタイルに落ち着き、服の数も絞るようになったため、被服費も抑えられるように。「シンプルなデザインの服は自分でつくることも」

スキンケアにはしっかりこだわる。

清潔感のある人でいたいという思いから、美容代にはしっかりお金をかけるのがポリシー。美顔スチーマーやマッサージ器、美容オイル、美容液など、さまざまなアイテムを取り入れている。
井手しのぶ

井手しのぶ さん (いで・しのぶ)

建築デザイナー

1961年生まれ。長年住宅や庭の設計・デザインの会社を経営後、現在はフリーの建築デザイナーとして活躍している。

『クロワッサン』1099号より

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