くらし

見て楽しい、食べておいしい。ベランダでコンテナ栽培を始めよう!

都心のマンションや広い庭がなくても、野菜やハーブなどの食べられるものを育てる楽しみと方法を教えてもらいました。
  • 撮影・三東サイ イラストレーション・マエダユウキ 文・辻さゆり

スペースが限られたベランダでは、どんな野菜やハーブ、花を、どんな組み合わせで育てればいいのだろうか。
NHK『趣味の園芸 やさいの時間』でお馴染みの講師、藤田智さんに教えてもらった。

「ベランダで育てる場合は、室外機の前は避け、午前中の日が当たる場所にコンテナを置いてください。コンテナの下に煉瓦やすのこを敷けば、照り返しも防げます。野菜やハーブと共に食べられる花を植えれば、見た目もきれいで楽しいベランダになりますよ」

おすすめ(1)ミズナ× サニーレタス

独特な葉の形と、鮮やかな葉色の取り合わせ。

ミズナは種をすじまきにし、サニーレタスの苗は間隔を20cmくらいあけて植える。「ミズナは双葉が出たら、3〜4cm間隔に間引き。ベビーリーフは味噌汁の具などに。レタスと育て方が同じサンチュを植えても」

●コンテナを上から見た図

【ミズナ】
科名:アブラナ科
収穫部分:根から
スタート方法:種(すじまき)
植える時期:3月末〜10月
収穫まで:約1カ月
収穫サイズ:高さ25〜30cm(目安)
追肥:1回(本葉が4〜5枚になった頃)

【サニーレタス】
科名:キク科
収穫部分:根から
スタート方法:苗
植える時期:3月末〜5月初め
収穫まで:約1カ月
収穫サイズ:高さ25〜30cm(目安)
追肥:1回(株を植えて2週間後)

おすすめ(2)ミニトマト×バジル

一緒に食べておいしいものは相性がいい。

ミニトマトとバジルは共に苗で、10cmくらい間隔をあけて植える。コンテナに3本の支柱を立て、ミニトマトの茎が伸びたらひもをかけて誘引する。「バジルは花が咲くと葉が硬くなるので、蕾がついたら折り取っていくと柔らかい葉になりますよ」

【ミニトマト】
科名:ナス科
収穫部分:果実
スタート方法:苗
植える時期:4月末〜5月半ば
収穫まで:約2カ月
収穫サイズ:実が真っ赤に熟したら
追肥:2週間おき

【バジル】
科名:シソ科
収穫部分:葉
スタート方法:苗
植える時期:5月初め〜7月半ば
収穫まで:約1カ月半
収穫サイズ:高さ30cmくらいになったら
追肥:2週間おき

おすすめ(3)キュウリ×マリーゴールド

防虫効果のある花を植えて、野菜の病気を防ぐ。

キュウリは苗から、マリーゴールドは花が咲いている苗を植える。マリーゴールドは根に侵入して植物を弱らせる線虫に効果的な対抗植物。「マリーゴールドの花も食べられます。共に黄色の花を咲かせ、育てている間も楽しめます」

【キュウリ】
科名:ウリ科
収穫部分:若い果実
スタート方法:苗
植える時期:4月末〜5月初め
収穫まで:約1カ月
収穫サイズ:幅40〜50cm、高さ1.8m以上(目安)
追肥:2週間おき

【マリーゴールド】
科名:キク科
収穫部分:花
スタート方法:苗
植える時期:4〜5月
収穫まで:——
収穫サイズ:花が咲いたら
追肥:——

植えつけの方法

[準備するもの]

上・鉢底ネット
中・培養土
下・鉢底石

[プランターの準備]

(1)底に鉢底石を敷く

プランターの底に鉢底ネットを入れ、鉢底石を敷く。石をネットに入れれば、後で培養土と分別しやすい。

(2)培養土は上部から2〜3cmまで

コンテナの上部から2〜3cm下まで培養土を入れる。培養土は家庭菜園用の肥料が入ったものがおすすめ。

(3)手で表面をならす

コンテナを軽くゆすって土を落ち着かせ、押しつけるのではなく手で表面をポンポンと叩いてならすように。

[種まき(すじまき)]

(1)まき溝を作る

細い竹や棒(なければ割り箸でもO K)などを土に軽く押しつけて、深さ1cmくらいのまき溝を作る。

(2)種をまく

溝の中にそれぞれの野菜に適した間隔で種をまく。ミズナの場合は約1cm間隔で。

(3)土をかける

溝の両脇の土をつまむようにして、種にまんべんなく土をかぶせ、種と土を密着させるように手のひらでトントンと上から押さえる。

[苗の植えつけ]

(1)植え穴をあける

苗が入っているポットを移植する土の上に置き、スコップを使って、それより少し大きめの植え穴をあける。

(2)苗を取り出す

手でピースサインを作り、人差し指と中指の間の付け根で苗の根元を挟み、ポットを逆さにして取り出す。

(3)植えつける

根鉢は崩さないようにしてそのまま植え穴に苗を入れ、根と土を密着させるように周囲を軽く押さえる。

[水やり]

「植えつけたらたっぷり水やり」

植えつけたらプランターの底穴から流れ出るくらいたっぷりと水をやる。その後は土の表面が乾いたらたっぷり、が原則。

【コンテナ栽培の「キホンの〝キ〞」】

Q.肥料の選び方は?

A.「N-P-K=8-8-8」で覚えて。

初心者に使いやすいのが植物の成長に欠かせないチッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K)が8%ずつ含まれた肥料。「肥料をたくさんやり過ぎると失敗します。一般農家では15%のものを使うので、家庭菜園では約半分の量が目安となります」

Q.土は使いまわせますか?

A.消毒すれば次の年も使えます。

処分も大変な土は、できれば使い続けたい。「収穫を終えた土をふるいにかけて袋に入れ、水と米ぬかを加えて口を閉じて2〜3週間置きます。すると高温になって土が殺菌されるので、そこに新しい培養土を加えれば再使用が可能」

Q.害虫対策はどうすればいい?

A.防虫ネットをかけたり、アブラムシには石鹼水も。

葉野菜は、ささ竹を曲げて土に挿し、ネットをかけて麻紐でしばれば、虫の侵入をある程度防げる。「アブラムシには石鹼水を霧吹きでかけるという手もあります。なるべく農薬を使わないで済むよう、水やりのたびに葉の裏まで確認を」

Q.野菜の病気が心配です。

A.梅雨時は雨除けネットを。

ベト病やうどんこ病などの植物の病気の7〜8割はカビが原因。「雨の日は、軒下へ移動して当たらないように。また、雨除けネットをかけるのもいいと思いますよ。栄養不足が原因で病気を誘発することもあるので追肥を忘れずに」

藤田 智

藤田 智 さん (ふじた・さとし)

恵泉女学園大学副学長

1959年生まれ。わかりやすい解説が人気の「野菜作りの伝道師」。『新・野菜づくり大全』(NHK出版)など著書多数。

『クロワッサン』1092号より

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