くらし

1日5分で小さく始めてリバウンドなし! 50代から始めたい、捨てる生活。

1日5分のスモールステップを重ね、リバウンドなし。
50代から始めて10年後も安心な方法を、専門家がアドバイス。
  • イラストレーション・小林マキ 文・斎藤理子

近著で50代で自宅の片づけを始めることを提唱している、整理収納アドバイザーの阿部静子さん。それには7つの理由があるという。

「まずは、体力と気力が充分ある50代のうちに始めるというのが1番目の理由。気づいたら片づけられなくなり子どもに大変な思いをさせるのを避けるため、早めのスタートを」

2番目の理由は、家族の人数やライフスタイルの変化が起こるのが50代だから。片づけは思考も整理されるので、これからの人生で何を大切にしていきたいかがクリアになる利点も。

「3番目の理由は、親の介護が突然始まる場合が多いこと。たとえ介護で疲弊しても、自分の家がすっきりしていると帰宅した時にホッとできます。50代での片づけは、負担が大きくなった時の自分を助けてくれます」

さらに、ものを減らすのは考えているより大変、というのが4番目の理由。60代になると家をサイズダウンする人も多いが、その時になって急にものを捨てようと思っても実は難しい。それを見据えて50代から徐々に家を片づけ始めるのが理想だという。

「5番目の理由は、子どもの負担を減らすため。自分がやらなければ被るのは子ども。子どもがいない場合は他の家族に迷惑がかかります」

6番目は防災。

「ものが多いと災害時に被害が大きいことは、東日本大震災で私自身が経験しました。片づけは身を守る上でも大切です。最後に老後に発生する夫の介護や孫の世話なども視野に入れて。忙しい、さらに体力も残っていない、では家の片づけまで手が回りません。50代は片づけの始め時なのです」

片づいたらどんな暮らしがしたいのかを思い描く。

まずは、片づいた部屋でどう過ごしたいか、自分の理想を考えてみる。

「ごちゃごちゃと散らかった部屋ではできなかったけれど、すっきりと片づいたらしたいことが誰にでもきっとあるはず。それを思い描いて、モチベーションにします」

今までは人を呼べなかったけれど、親しい友人を招いてホームパーティを開きたい、すっきりとした空間でお茶やアロマを楽しみたい、片づけに費やしていた時間を趣味に使いたい……、きっかけは些細なことでいいと阿部さんは言う。

例えば手芸や絵画など、以前どんな趣味を持っていたか思い出すことも、ヒントになる。ヨガマットを敷けるスペースを作りたいというくらいのきっかけでも、片づけに手をつける一歩になるのだ。

「いい香りに包まれて美味しいお茶を飲む自分」など、理想を明確にイメージして。

一気に片づけようとせず、スモールステップを心がける。

片づけを失敗する理由には2パターンあると阿部さん。まずは一気に片づけたい、そのためにまとまった時間が必要と思い込み、先延ばしにする人。もうひとつは、ものに向き合わないまま一気に片づけた結果、リバウンドを起こす人だ。

「最初は身近なものから少しずつ片づけるのが基本。たとえばペン立てや化粧ポーチ。中を全部出して見て、使えなくなったものやいらないものを捨てます。この時の、不要なものを後生大事に持っていたんだ、という気づきが大事なのです。それが今度はものを増やさないようにする決意に繋がります」

まずは1日5分で終えられることから始める。そこで捨てることができて、片づいたという小さな成功体験を積み重ねていくと、捨て癖がつき、捨てられる体質の基礎ができていく。

ペンは「インクが出ない=使えない」という判断が明快で、 捨てる作業初心者向けのアイテム。

人のものは置いておいて、自分のものに集中する。

散らかった家で気になったり邪魔に感じるのは、いつも他の家族のもの。先にそれを捨てさせたり片づけたくなるが、それはNGだと阿部さん。

「自分のものには思い入れがありますが、人のものにはないので邪魔に感じます。でも、逆の立場で考えてみてください。人には自分のものに対する思い入れがそれぞれありますから、片づけたり捨てたりするのは自分のもののみ。そこが片づき始めると、人のものは次第に気にならなくなるものです」

大切なのは、私物の片づけに集中すること。それが手本となって家族にも影響すると、片づけの連鎖が始まる。片づけは前向きな作業だという感覚を家族にも伝染させることができればしめたもの。もちろん家族が何かを片づけたら大げさなほどに褒めるのがポイントだ。

ゴミにしか見えないものも本人にとっては宝物、 ということもある。家族であっても不可侵。
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