くらし

1日5分で小さく始めてリバウンドなし! 50代から始めたい、捨てる生活。

  • イラストレーション・小林マキ 文・斎藤理子

家の顔である 玄関を片づけて、成功体験を作る。

「玄関は狭く、あるものの要素も少ない、家の中でも簡単に片づけられて達成感が得られやすい場所。家の顔であると同時に、みんなが目にする場所でもあるので、スッキリすると気持ちがよくなり、他の場所へのモチベーションになります」

不要な靴から捨てるのが基本だが、下駄箱の靴を全部出してチェックするのはハードルが高い。まずは傷などが多い靴を1足選び、それを5分眺めて、見極める。次に3年以上履いていない靴があれば同様に判断。最初の1足を捨てられたら、次への弾みがつく。

「たたきに余分な靴が出ていない。それだけで想像以上に、帰宅した時にホッとするもの。来客が最初に目にする場所でもあるので、きれいにしているね、と褒められれば、大きな成功体験にもなります」

ものを置く位置は、 基本的に「使用頻度」で決める。

散らかっている家は、ものが全て同列に置かれていると阿部さん。よく使うものは出す、たまにしか使わないものはしまう、2カ所収納を心がけることから。

「例えばキッチンの調味料を引き出しに入れる際、よく使うものは手前に、そうでないものは奥に配置。当たり前のように聞こえますが意外とできていない人は多いのです。家族構成の変化などで、使わなくなった大人数用の調理道具などを思い切って処分し、気分がすっきりしたという人も」

棚の収納は、使用頻度と高さを意識して。キッチンならよく使う食器類は中央の棚。大きくて重い食器や鍋は下段に。上段には軽いカゴなどを。全て見えるところに置かずとも、よく使うものだけを出しやすいところに配置。見た目だけでなく使い勝手も格段に上がる。

使用頻度を吟味し、とことん便利にゾーニング。 "よく使うもの"だけを最優先して動線もすっきり。

厄介な「紙類」の始末上手になろう。

日々際限なく来るダイレクトメールや、どんどん溜まる書類。紙類を処理するのは意外と手間。とはいえ、溜めてしまうと家は一気に雑然とする。

「玄関に小さなゴミ箱を置いてください。DMやチラシなどはそこで捨てて、家の中に持ち込まないようにします。あとで見る紙類を減らすためにも、可能な限り玄関で処分します」

必要な書類は、「よく見る」「たまに見る」「あまり見ない」の3つに分け、書類ごとにインデックスをつけたクリアホルダーに入れ〝見える化〟を。それぞれファイルボックスへまとめ、「よく見る」ものは出しておき、そうでないものは棚などに収納。そうすることで、必要な書類がすぐに取り出せるように。定期的にチェックして、不要なものを捨てる。取扱説明書はインターネットでも見られるので処分しても。

「誰か」に「そのうち」 譲ることは考えないで。

子どもの独立などで家族構成が変われば、自ずと必要なものも変わる。まずは鍋や食器を見直してみるといい、と阿部さん。あまり使わなくなったすき焼き鍋や大きな土鍋などは、捨て時だ。カトラリーや食器も、家族分と、想定される最大人数の来客分を残して、あとは処分。タオルやシーツも溜め込まないで、新しいものをどんどん使う。古くなったらウエスに。

「子どもやその配偶者がいつか使うかもしれないと思い、いろいろなものを捨てられない人は多いんです。でも、親が溜め込んだものを、子どもや孫が使いたいと思うことはほとんどないのが現実。人に譲ることは考えず、これからのライフスタイルに合わないものは手放すのが大事。スキーやキャンプ用品なども、今後使うのかを判断して、いらないと思ったら捨てましょう」

子どもが小さかった頃に活躍したものはなかなか捨て難いけれど、これからの自分の人生に必要かどうかを判断して処分を。

家で当たり前に使っているものを見直してみる。

「不要なものがある程度片づいたら次のステップ。必要だと思っていたものを見直すと、暮らしが楽になることも。私自身は、玄関、トイレ、キッチンにあるマット類を思い切って撤去。床が汚れたら拭くだけでよく、洗濯の手間がなくなりました。家の中がスッキリし、つまずいて転倒する危険性も軽減」

常備しているものも見直しを。押し入れにずっとある来客用布団、座布団など。実はずっと場所をとっていた婚礼家具なども、要チェック。客布団は貸し布団で、椅子生活で使うことのない座布団や大きな家具は思い切って処分するなど、ここまでくれば片づけもかなり上級者。これからの人生を見据え、最初は小さなところから、徐々に捨て癖を。

思い出のものは捨てなくてもいい。

思い出の品は実用品ではないことも多く、片づけの初手にジャッジせねばと思いがち。勢いで一気に作業すると、大切なものも捨ててしまうことが。そこで後悔すると、片づけそのものが嫌になって頓挫する。気持ちがこもったものの整理は、むしろ一番後回しにするのが鉄則だと阿部さん。

「実は片づけのネック、ストッパーになるのがそこ。思い出のものには手をつけないと決めると、格段に気が楽になり、片づけが進みます。面白いことに、手放したくないと思ったものをすべて残すと、その中に不要なものがあると気づく人も多いのです」

ジャッジに時間がかかるものはとりあえず残す、という柔軟な気持ちで取り掛かろう。

不要なものがなくなっていくと、次にあって当然だと 思っているものを見直すフェーズに。
阿部静子

阿部静子 さん (あべ・しずこ)

整理収納アドバイザー

すぐ片づけたくなる、ラクにできる、ハッピーになれる片づけメソッドが大人気。著書に『だから、50歳から片づける』(CCCメディアハウス)。

『クロワッサン』1083号より

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