くらし

通信費の見直しで節約、そのパターンと手順をプロが解説。

やっているつもりでも、なかなか自信が持てない「節約」。大人の節約は、やみくもに削るのではなく、一度見直すと効果が続く固定費から。節約アドバイザーの丸山晴美さんと、家計コンサルタントの八ツ井慶子さんに話を聞きました。
  • イラストレーション・小林マキ 構成と文・生島典子

通信費は格安プランも登場し、見直して負担を軽くするチャンス。

テレワークで自宅Wi-Fiを使うことが増え、スマホのデータ使用量は減!?

コロナ禍ではテレワークで自宅のネット環境を使うことが増えるなど、通信費のかかり方も変化した。

その一方で、総務省からの通信料引き下げ要請によって、大手キャリアが格安プランを打ち出し、競争が激化。通信費の負担を減らすチャンスが訪れている。

八ツ井さんは、「通信費は、死ぬまでかかる費用=『一生涯費目』だから、覚悟を決めて一度ていねいに見直すと、生活コストが時間をかけて大幅に抑えられます。
もし、月に2万円の差なら1年で24万円、これから40年間の累計額では960万円にもなります」。

見直しの選択肢は、大手キャリアの格安プランか、サブブランドか、格安SIMにするか。知識がなければ、この仕組みを理解することから始めたい。

ここで「怖い」「わからない」「めんどくさい」と思ってしまうと身動きがとれなくなる。「見直すことで、この先ずっとお金が浮く」と思考を切り替え、きちんと向き合ってみよう。

丸山さんは、「ちょっとしたことでも窓口で聞きたい人は、大手キャリアの中で見直したほうがいいでしょう。
ある程度知識があって、ネットから手続きができる人は、格安SIMや格安プランを選択したりすると格段に安くなります。
私が使っている格安SIM、OCNモバイルONEの音声対応SIMカードの通信容量3GB/月コースは、月額料金990円です。自宅で仕事をしているから、通信量はあまり多くありません。通話用のドコモのガラケーは、月に3,000円くらいです」。

八ツ井さんは、自分で乗り換え先の情報を調べることを基本としつつ、詳しい友人・知人に聞くこともお勧めだと言う。

通信費全般について相談できる場所はあまりないため、複数の通信事業者の代理店をしている家電量販店などで情報収集するのも一つの方法。

丸山さんは、子ども世代はスマホに詳しいので、子どもがいる人には、親子で同じ端末にしておくことを勧めている。そうすれば、困ったときに操作方法を教えてもらえるからだ。

「具体的な見直しの手順は、自分の携帯やスマホの使い方を把握してから、その使い方に合いそうな乗り換え先の候補を複数出して、見積もりをとって比較して決めるのがいいでしょう。完璧を求めず、いかに自分が納得できるかが大事です」と、八ツ井さんがアドバイス。

「私は、楽天モバイルとY! mobileの2台持ち。Y! mobileの通信料が4,000円くらい。楽天モバイルは、2年目から使ったギガ数に合わせて通信料が決まり、無制限で使っても最大2,980円までしかかかりません」。

通信費に関しては、もはや大手キャリアでなければならない理由がなくなり、本当に安くなる環境が整ってきた。

〈通信費の見直しパターン〉

●思い切って「格安SIM」にすると料金が大幅ダウン。

大手キャリアから設備を借りてサービスを提供している通信事業者の「格安SIM」をスマホに入れることで、通信・通話ができる。IIJmio(アイアイジェイミオ)やOCNモバイルONEなどがある。

●独自路線をいく「楽天モバイル」は、1GBまで0円!

データ通信料金が1GBまで0円で、どれだけ使っても2,980円(税込3,278円)。手続きは、ショップでもネットからでも可能。契約者は、楽天ポイントのSPU(スーパーポイントアッププログラム)が上がる。

●料金を下げつつも店舗で相談したい人はサブブランドを選択。

大手キャリアのプランより安く設定されていて、店舗で手続きできる点がサブブランドのメリット。ソフトバンク系のY! mobileや、KDDI系のUQ mobileなどがある。

●大手キャリアのままにしたい場合は、格安の新プランに。

オンラインでのサポートに限定することで、これまでのプランよりも価格を下げた大手キャリアの新プラン。ドコモの「ahamo(アハモ)」、auの「Povo(パヴォ)」、ソフトバンク「LINEMO(ライモ)」。

〈通信費の見直し方の手順〉

●Step 1
携帯ショップや家電量販店などに行って情報収集する。詳しそうな人にも聞く。自分でもネット等で調べる。
 ↓
●Step 2
乗り換え先の候補を3〜5社出す。
 ↓
●Step 3
今の使い方のまま乗り換えたらいくらになるか、3〜5社の見積もりをとる。
 ↓
●Step 4
乗り換え先を決定して、手続きをする。

丸山晴美

丸山晴美 さん (まるやま・はるみ)

節約アドバイザー

22歳のときに節約に目覚め、2001年に節約アドバイザーとして独立。『シングルママの「お金に困らない」本』(徳間書店)など著書多数。

八ツ井慶子

八ツ井慶子 さん (やつい・けいこ)

家計コンサルタント

メビウストーチ代表取締役。2001年にファイナンシャルプランナーとして活動を始め、’13年に「生活マネー相談室」を設立。個人相談や講演、執筆などを行う。

『クロワッサン』1062号より

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