くらし

公売物件を購入してDIYで修復・再生。編集者による4軒のリノベーション物語。

望みどおりの家で暮らす最も確実な方法は、自分で作ることかも? 中古物件を購入し自分の手でリノベーションしたフリーエディター片岡さんの〝作品〟を見に行きました。
  • 撮影・黒川ひろみ

公売物件を購入したことでスタートした、片岡さんのリノベーション物語。

『ハナコ』や『ハナコママ』など人気雑誌の編集長を務めてきたフリーエディターの片岡延江さんは、数年前、それまで縁のなかった千葉県佐倉市に家を購入した。

「なんとなく検索して見つけた公売物件が気になって。実際に見てみるとけっこうあちこち傷んでいたので、大規模な改修が必要でした」

(1軒目)

公売物件という特性上、安く購入できたものの、かなりの手直しが必要だった。ここで自ら壁塗りなどを行ったことで、片岡さんに潜在していたリノベ魂が目覚めた。

業者を探したり、各所と交渉したり、施工に立ち会ったりしているうちに、部分的に自分でも壁塗りなどの作業をするように。

「ペイントや左官工事をやってみたら楽しくて。DIYにハマりました」

こうしてリノベーションが済み、きれいに生まれ変わった1軒目の物件は、現在貸し出し中。DIYのみならず不動産の面白さに夢中になった片岡さんは、宅地建物取引士の資格も取得しているのだ。

「中古物件を購入してリノベーションすることは、もちろん賃貸での収益を目的としているところもあるのですが、私の場合はDIYをやりたいから家を買うような感じになってきていて。むしろ手のかかる物件に目がいくように(笑)」

物件探しや設計プランなどのノートは、編集者らしく取材メモのよう。

(2軒目)裏には竹林。風情ある民家を再生、 通称「たけのこハウス」。

1軒目の改修を、見事成功させた片岡さんは、次に同じ佐倉市内に古民家を購入。駅からほど近い利便性ながら、裏には見事な竹林が立ちこんでいる。

二間続きの和室……ではあるが、実はこの家屋は全ての部屋が戸襖で続いている。まずはこの二間の仕切りを取り払い、大きな応接スペースにした。壁や床をきれいに模様替えした一方、欄間や柱などは、古い良さを活かしている。

「大所帯のご家族で住んでいたというとても古い日本家屋です。そのまま使い続けたい建具も多く、残すかどうか悩みながら作業をしているのでなかなか進まなくて」

押し入れの戸は深いブルーにチェンジしたが(左)、一部、柄が可愛くコンディションも良いものは元のままに(右)。
古民家は家具や調度品が残された状態である場合も。古民家にマッチするものは磨いて使ったり、リメイクして再利用。
美しい格子戸も古民家ならでは。この応接スペースで使っている椅子は「ジモティー」などの地域情報サイトで見つけたり、実家や近所から譲り受けたりした中古品。片岡さんがやすりをかけ、座面を張り替えたりしてブラッシュアップした。

この物件からはセルフリノベーションの割合が増え、壁の解体など大掛かりな工事には、片岡さんの息子やその友人たちも加勢。

今やあまり見かけなくなった長廊下。右手の窓には、同じく最近では珍しい戸袋付きの雨戸がある。「ここに来るとまず、家じゅうの雨戸を開けます」(片岡さん)。防犯、防寒などメリットは多いが、なかなかの重労働。

「最近は古民家やDIYに興味のある若い人たちが多く、積極的に関わってくれます。いろいろ話すうちに公売物件や不動産にも興味を持って、不動産会社とは違う私の視点での意見を求められたりも。」

草刈りや伐採の道具。3軒がリノベーション進行中のため、工具類はそれぞれの物件に置いてあるそう。
こちらの部屋はまだ養生中。初めに全てを決め込まず、ここはどうしようかなと思案しながら改修を進めていくのが片岡さん流。
裏庭はたけのこの宝庫。訪れた4月はシーズンということもあり、面白いぐらい次々に収穫できた。

「将来的には、小さい子どものいる家族が、週末に気がねなく過ごせる、田舎の家のような宿泊所として貸せたらいいですね」

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