ナポリさんが27歳ということは、母上の年齢は、50~60歳といったところでしょうか。
「どこが面白いのかわからない」、「自慢じゃないけど1回も行ったことがない」等々、憎まれ口を叩くくらい、お若く元気。
元来、「ただ否定する」というのは(ただ評価する・褒めるというのも結局のところ、同じことですが……)、人が優越感を得るのに、最もお手軽な方法と言えます。
筆者にも似たような経験があります。
以前、地方営業のお笑いステージで漫才を披露した後、楽屋でSNSを眺めていたら、“さっき、ショッピングモールに髭男爵いた。わたしはスルーしたけど!”というつぶやきを発見。
謎のアピールに、ゲンナリしたことがあります。
……いや、ちょっと違うかもしれませんが、とにかく自分は何もしなくても良い。
他人を叩き、腐すことで、相対的に自分の価値を高めることが(一見)叶うわけですから、実にラクチン。
気分も良いのでしょう。
その対象が、皆が「良い!」と言うものなら尚更。
「あたしはそうは思わない!」と口にするだけで、変わり者で、特別な価値観の持ち主だと気取ることが出来るわけですから、癖になるのも仕方がない。
とは言え、SNS等を覗けば、そういう方々は山ほどいらっしゃいますので、ある意味多数派……非常にベタで、ありきたりとも言える。
皮肉なものです。
母上の場合、娘、つまり、相談者に一目置かれたいような欲求があるのかもしれません。
だとすれば、実にキュート。
あまり目くじらを立てるのも気が引けます。
この際、ちょっとしたお仕置きとして、母上が何かを否定する度、
「ほんとそうだよねー、私もそう思う!」
「だよねー、皆言ってるもんねー!」
「○○(著名人、あるいは、近所の顔見知りの人等)さんもそんなこと言ってたよ!」
とむしろ“肯定”、乗っかってあげるというのはどうでしょう。
少々意地悪ですが、筆者の周りの“母上的言動をする方々”に試すと、かなりの確率で、“シュン”となります。
「それは、皆と同じ考え、ベタな指摘ですよ?」
と暗に、少数派でも、特別トリッキーな発想でもないのだと、相対的価値を下げてあげる。
きっと、母上も、
(……あれ?)
と複雑な表情をされるでしょう。
……効果が無くても責任は取りかねますが。
いずれにせよ、家族・親子だからと言って、一心同体、なかよしこよしでなければならないという法はありません。
実際、親や兄弟と馬が合わない、なんて方も少なくない。
無理をして付き合い煮詰まるよりも、母上がお元気なうちに一度離れて暮らしてみるのも悪くないと思います。