くらし
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ボヤいたり不足を言うこと。これはもう本当のムダです――深澤道子(聖マリアンナ医科大学病院医療相談室長)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、心理学者の言葉から「ムダな時間」について考察します。
  • 文・澁川祐子
1979年1月25日号「『ムダの効用』がわかる女が増えてきた」より

ボヤいたり不足を言うこと。これはもう本当のムダです――深澤道子(聖マリアンナ医科大学病院医療相談室長)

前回に続き、今回も「ムダ」のすすめ特集より名言をピックアップ。心理学者として活躍した深澤道子さん(1935-2013)は「何が本当のムダなのか」を、精神科医エリック・バーンの時間の構造化の定義を引用して、解説しています。

それによると、睡眠以外の行動時間は以下の6つに区分されるといいます。

1.ひきこもり…1人の自閉的な時間。思索や読書など。
2.儀礼儀式…単に役割のためだけに過ごしている時間。出席しなければいけないが、実際は座っているだけの会議や町内会の集まりなど。
3.ひまつぶし…目的も理由もなくボケッとしている時間。友人との雑談など。
4.活動…能動的に過ごす時間。趣味や仕事など。
5.心理的かけひき…対人関係に割く時間。恋愛や会社でのディスカッションなど。
6.親密さ…気を許している相手(夫や親友など)と一緒にいる時間。

そしてこの6つに当てはまらない時間を「本当のムダ」と、深澤さんは断じます。その筆頭が名言にあるように〈あのときこの人と結婚していなければ、とか夫にもっと理解力があれば〉などと、過去や未来について仮定で考え、ボヤいたり不足を言うこと。〈後悔や自責、罪悪感で時を過ごすのは、やめたほうがいいでしょう〉と説いています。

裏を返せば、これら6つに当てはまることはムダのように思えても、精神的なバランスを保つには必要だということ。効率重視の昨今、あれもこれも一緒くたにムダとみなしがちですが、「必要なムダ」と「本当のムダ」という視点で、あらためて日々の暮らしを振り返ってみたいものです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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