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女性ホルモン補充療法はどんな選び方をすればいいのですか?【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 図・坂本康子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q.女性ホルモン補充療法は どんな選び方を すればいいのですか?

ここ半年ほど、出血がしばらくなかったり、大量に出たり、月経が乱れています。会社の会議中などに、急に顔がカーッと熱くなることもあって、あ、これがホットフラッシュなのかと……。女性ホルモン補充療法を始めたいと思い、経験者の先輩に聞くと、飲むホルモン剤を、友人は塗るタイプを使っています。なぜ、そのホルモン剤なのかというと、2人とも医師がすすめたとおりだと言います。自分に合うものはどうやって選ぶのでしょうか。婦人科で、すぐに処方してもらえるものなのでしょうか。(N・A 51歳 会社員)

A.飲む、塗る、貼る---- どのタイプでも、自分が 快適に感じる薬を選べます。

皆さん、はじめまして。今年86歳の、現役の産婦人科医、野末悦子です。女性医療にたずさわって60年。誕生から思春期、妊娠・出産、更年期、老年に入って終末期に至るまで、女性の一生を診てきて思うのは、よりよく生きるためには「カラダについての知識」が必要不可欠だということです。これから毎号、皆さんからの質問にお返事を書きますので、よろしくお願いします。

N・Aさんは、年齢的には更年期。心身ともに大きく変化するときに入っていますね。変化に気づき、周りの先輩女性たちに情報を求めて積極的に自分のカラダを立て直そうとする姿勢、すばらしいですね。

ホットフラッシュなどの「更年期症状」は多種多様で、100とも200とも言われるほど。生活に支障をきたすと「更年期障害」となり、治療対象になるんです。女性ホルモンの分泌量が減ってくることで起こる疾患ですので、ご質問のとおり、第一選択として「女性ホルモン補充療法(HRT=Hormone Replacement Therapy)が有効です。

よく聞かれるのが、「誰でも受けられるのですか?」という質問。更年期障害の「標準治療」ですので、もちろん誰でも保険診療が受けられます。どう調べるかというと、血液検査で、E2(エストロゲン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)などのホルモン値をみます。N・Aさんも、一度婦人科で診てもらいましょう。更年期外来などの専門科もいいですね。

ホルモン剤には、「飲み薬(経口剤)」「塗り薬(ジェル剤)」「貼り薬(貼付剤)」があり、飲み薬は肝臓で代謝されますが、直接、経皮吸収される塗り薬や貼り薬のほうが負担が少ないと考えられます。が、私は、本人が使いやすいほうを選んでよいと思っています。月経を起こす方法と、起こさない方法があるので、投与法も選択するようにしましょう。肝心なのは、HRTの経験の豊富な医師を選び、わからないことがあったら質問できるパートナーシップを作ることです。


「飲む」か「塗る・貼る」かで違う、 ホルモン剤の吸収のしかた

●飲み薬
錠剤で使いやすいが、肝臓で代謝されるため負担がかかることも。胃腸障害が出る場合もある。

●塗り薬・貼り薬
ジェル状の塗り薬、パッチ状の貼り薬は肝臓を通らず、経皮吸収されて血管に入る。


がんや心臓病など、生命に直結する病気とは違い、更年期障害の治療は、これからの人生、どう生きるかで選択する医療です。より快適に、より生きやすく、自分の目的を叶えるために選ぶ。たとえば私の場合は、「仕事」が第一優先。カラダが動く限り医師を続けたい、そのために日々何を選択するか……がすべての基準となっています。更年期は、自分の軸はどこにあるのかを考え直すいいチャンスとも言えますね。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

どう生きるかで決めるのが女性医療です。選択の自由はあなたにある。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』995号より

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