からだ

幸せホルモンを増やす、脳から攻める“ホル活”とは?

女性ホルモンは増やせなくても、「幸せホルモン」を増やすことは可能!
今日からできる〝ホル活〟を実践して、健やかな毎日を送ろう。
  • イラストレーション・竹井晴日 文・嶌 陽子

幸せホルモンって?(1)女性ホルモンの乱れとうまくつき合うために、積極的にできることも。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは脳からの指令によって卵巣から分泌される。

ところが更年期になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少。脳が指令を出してもエストロゲンがそれに応えられないため、脳は混乱してしまう。
結果として自律神経が乱れ、さまざまな心身の不調を引き起こす。

「エストロゲンは、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやセロトニンの分泌に関係しています。そのため、更年期にエストロゲンが減少すると、それらも減ってしまうのです」

と、臨床発達心理士の山口創さん。更年期にイライラや不安が募る背景には、こうした要因があるのだ。

「女性ホルモンの乱れと上手につき合うためには、幸せホルモンであるオキシトシンやセロトニンを意識的に増やし、日頃のストレスを和らげることが大事なのです」

幸せホルモンって?(2)幸せホルモンは、私たちの心や体にどのような作用をするのか。

主な幸せホルモンである「オキシトシン」と「セロトニン」。具体的にはどのようなものなのだろうか。

「セロトニンには不安やストレスを和らげ、精神を安定させる働き、オキシトシンには幸福感や楽しさをもたらす働きがあります。セロトニンが一人でも分泌できるものなのに対し、オキシトシンは主に人との触れ合いによって分泌されるものです」

オキシトシンは子宮に受容体が多くあり、女性ホルモンであるエストロゲンとの関係も深い。

以前から子宮収縮を起こすホルモンとして知られてきたが、最近ではそれ以外にもストレスの抑制、痛みの緩和、免疫の活性、血圧を下げる、皮膚のバリア機能強化など、心身の健康にとって多くの効果を持つことがわかってきた。

セロトニンにも、心身をすっきりさせ精神の安定を保つほか、自律神経のバランスを整える、痛みを調節するといった働きがある。

「セロトニンやオキシトシンが減少するとイライラや不安、怒りが増え、感情が不安定になりやすくなるなど、さまざまな心身の不調を引き起こす可能性があります」

幸せホルモンって?(3)幸せホルモンも減ってはしまうが、意識的に増やすことができる。

ストレスを受けたり、女性ホルモンが減少したりすることによって、オキシトシンやセロトニンは減ってしまう。だが自力では増やせない女性ホルモンとは異なり、幸せホルモンは自分で増やすことができる。

「しかも、オキシトシンはエストロゲンと相関関係にあるため、それを増やすことでエストロゲンにもよい影響をもたらすともいわれています」

セロトニンは太陽の光を浴びること、リズミカルな刺激、そしてグルーミングによって分泌される。

リズミカルな刺激としては散歩やジョギング、ガムを噛む、腹式呼吸などがおすすめ。親しい人や動物とのスキンシップ、会話などはグルーミングに当たる。

オキシトシンも主にグルーミングによって分泌されるが、それ以外にも自分で自分を労ったり、五感を楽しませたりすることでも増やすことはできる。

「朝や夜、化粧水を手につけて顔をじっくりとハンドプレスするのもセルフグルーミングの一種。セロトニンにオキシトシンも分泌されます。その際、自分を労る言葉をかけながらすると、より効果的です」

【日々の習慣にしたい、幸せホルモンの分泌を促す4つの方法。】

\ホル活 1/五感への刺激

●ラベンダーの香りや柔らかい布、歌うことや“推し活”も効果的。

オキシトシンには、五感の刺激に反応して分泌される性質がある。

嗅覚に大きく影響するのはラベンダーの香り。ラベンダーオイルの成分自体にオキシトシンを分泌させる作用がある。

聴覚についてはスローテンポの曲を聴くほか、歌を歌うのもよい。自然と腹式呼吸をするのでセロトニンの分泌にもつながる。

触覚に影響するのはマッサージなどのほか、柔らかい布やタオル、シーツなど。自分が心地よいと思える肌触りのものに触れるとオキシトシンが増える。

味覚に影響するものの一つは甘いもの。舌が「甘味」を感じるとオキシトシンが分泌されるという。また、食べ物を食べること自体も触覚を刺激しオキシトシンが分泌される。

最後に視覚。好きなものや人を見ることがオキシトシンの分泌につながる。お気に入りの絵や花を飾るのも効果的だ。ちなみに、好きなアイドルの写真や動画を楽しんだり曲を聴いたりするなどの「推し活」も五感を刺激し、オキシトシンの分泌を促すといえる。

\ホル活 2/セルフタッチ

●自分に触れることで幸福感を得てマイナスの感情を癒やす。

動物のグルーミングと同様、人間もストレスを感じると無意識のうちに体のどこかに触れて安心感を得ている。皮膚に適度な刺激を与えるとセロトニンやオキシトシンの分泌が促されるのだ。

そこで意識して実践したいのがセルフタッチ。

「ステップ1」ではいろいろなセルフタッチの方法を試し、自分に合うものを見つける。「ステップ2」では嫌な出来事を思い出してみて、それに対して自分を慈しむ「慈愛の言葉」を探す。「ステップ3」は2つを組み合わせて行う。

慈愛の言葉を自分にかけながら、1で見つけたセルフタッチをしよう。手のひら全体で圧をかけながらゆっくりと5分ほど行う。クリームやオイルを使うのもおすすめだ。

自分が心地よいと感じる動作や言葉を見つけよう。

【ステップ1】
顔を両手で覆う
胸に手を当てる(なでる)
両手を合わせる
お腹に手を置く(なでる)
太腿に手を置く(なでる)
膝を抱えて座る(体育座り)

【ステップ2】
「あれは仕方ないよなあ」
「あんなことを言われたら、腹が立つに決まってる」
「ドンマイ、私」
「よくがんばったじゃない」

\ホル活 3/バタフライハグ

●リズミカルな皮膚への刺激で落ち込んだ気持ちを和らげて。

セロトニンは皮膚へのリズミカルな刺激によって分泌されるが、これを手軽に行えるのがバタフライハグだ。

まず胸の前で両腕を交差させて(イラスト参照)、鎖骨の下あたりに指先が当たるようにする。次に右手、左手の順番で、鎖骨の下あたりを交互に1秒間隔で軽く叩く。

叩きながら自分を落ち込ませた出来事について鮮明に思い出す。3分ほど続けたら終了。続けていくと、悲しみや落ち込みが小さくなっていく。

\ホル活 4/マインドフルネス

●自分自身に思いやりを持って接する態度が育まれる。

マインドフルネスとは、過去の経験や先入観などの雑念にとらわれず、五感に意識を集中させて今のありのままの状況を受け入れること。

やり方はごくシンプル。椅子に座り、軽く目を閉じてゆっくりと呼吸をする。そして頭に浮かんできたことに執着せず、心を静かな状態に保ち五感を働かせるようにする。

マインドフルネスをするとオキシトシンが分泌されるほか、自分への思いやりも高まる。毎日3分でもいいので続けたい。

山口 創

山口 創 さん (やまぐち・はじめ)

臨床発達心理士

桜美林大学教授。タッチングの効果やオキシトシンについて研究している。著書に『皮膚はいつもあなたを守ってる』(草思社)などがある。

『クロワッサン』1070号より

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